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(写真AC)


■病院で陽性を確認する


新型コロナウイルスに感染しました。と言っても、既に先週から元の生活に戻っています。

新型コロナウイルスが昨年の5月に、指定感染症の2類相当から5類に移行して、感染時の行動制限などがなくなってからは、いつ感染してもおかしくないなと思っていましたが、案の定、感染してしまいました。

もちろん、私自身は外出時のマスクや手洗い等の感染対策は、5類に移行してからも何ら変わらず続けています。しかし、社会の風景は大きく変わりました。国家が右向け右と言えば右を向き、左向け左と言えば左を向くのです。それは見事なくらい統率が取れているのでした。

1月24日に「身体の不調」という記事を書きましたが、あれが感染の初期症状だったのです。その後、自分で抗原検査をしたら陽性が出たので、病院に行って検査を受けて、あらためて感染を確認したのでした。また、仕事の関係で検体を出していたPCR検査も後日、陽性反応が出たと連絡がありました。

しかし、症状はきわめて軽微でした。熱は出なかったし、悪寒や喉の痛みも数日で改善しました。ただ、咳と痰の絡みが未だに少し残っています。

ドクターから「やっぱり陽性ですね」と言われたので、「どうすればいいんでしょうか?」と訊いたら、「もし仕事の関係で休まなければならなかったら、会社と話し合って決めて下さい」「もう外出制限もありませんので、ご自分の判断で決めて構いません」と言われました。

「薬はどうしましょうか?」と訊かれたので、「コロナの治療薬が出たと聞いたのですが、必要ですか?」と尋ねました。

「あっ、あれは3割負担で9千円もするし、呼吸器系の疾患があるような重症化リスクのある人が飲むもので、普通の体力のある人は必要ありませんよ。あれを飲んだからと言って、効果てきめんに症状が改善されるというわけではないのです。ほとんどの人は処方しませんよ」
「じゃあ、ロキソニンを処方して貰えますか?」
「はい、わかりました。それと咳を止める薬と痰を切る薬を5日分処方しておきましょうね」

「先生、こうやって感染して休む場合、診断書を書いて貰って仕事先に提出するもんなんでしょうか」
「いえ、そんな人はいませんよ。みなさん、スマホでキットの写真を撮っています。それを会社に送信するんじゃないですか」

ドクターは、病院に来るのは、症状が重い人か仕事の関係で確定診断が必要な人だけで、無症状だったり軽症だったりした人は病院には来ないし、そもそも自分が感染しているという自覚がない人も多く、「だから、市中感染は想像以上に広がっているはずですよ」と言っていました。これではいつ感染してもおかしくないのです。

■ウイルスと共生して行くしかない


とは言え、感染することを「良くないこと」という考え方も、ぼつぼつ修正する時期に来ているのはたしかでしょう。既に4千万人が感染しているそうですが、(ブレークスルーの変異株も出ているので、集団免疫という考え方がどれだけ有効かわかりませんが)集団免疫を獲得するにはまだ少ないと言われているのだそうです。

私たちは新型コロナウイルスを撲滅することなどできないのです。一旦体内に侵入したウイルスは、生涯体内にとどまり続けるので、既に私たちの体内には、380兆のウイルスと100兆の細菌が生息していると言われています。

その典型例が、最近テレビで盛んにCMが流れている帯状疱疹です。私も罹ったことがありますが、あれは子どもの頃に水ぼうそうを発症したウイルスが原因で、加齢などで免疫機能が低下すると、ウイルスが再び活性化して今度は帯状疱疹を発症するのです。

私たちは、他のウイルスと同じように、これから生涯宿主しゅくしゅとして新型コロナウイルスと共生して行かなければならないのです。その意味では、感染は避けられないことでもあるのです。

5類移行は、弱毒化して普通の風邪と同程度の致死率になったからこそ、行動制限をなくして、あえて感染も厭わないような姿勢に転換し、ウイルスと共生していく道を歩むことを選択したとも言えるのです。

言うことが矛盾していると思うかもしれませんが、感染をそういった積極的な意味でとらえることも必要なのではないかと思ったりもするのでした。

今回の新型コロナウイルスの蔓延で、私たちはパンデミックの怖さを知りました。感染症の専門家たちは、次のパンデミックはあるのかどうかではなく、いつ来るかだと言います。次のパンデミックは必ず来る、と口を揃えて断言しているのです。

いくら科学が発達しITだAIだと言っても、私たちには、自然界からのしっぺ返しを防ぐ手はずはないのです。シンギュラリティーなどと言っても、自然界からのしっぺ返しの前では絵に描いた餅にすぎないのです。何故なら私たちも自然の一員であり、私たちの身体は自然から生まれ自然に属しているからです。たとえば、母胎の羊水の塩分濃度が、海中で脊椎動物が生まれたときの海の塩分濃度と同じだというのはよく知られた話ですが、私たちの身体こそがもっとも身近な自然だとも言えるのです。

もちろん、新型コロナウイルスが終息したわけではありませんし、ワクチン陰謀論などは論外ですが、次に備える教訓とするためにも、「正しく怖れる」ことが求められているのです。

■薬局で拍子抜けする


そのあと、処方箋を持って調剤薬局に行き、受付の女性に小さい声で「あのー、今病院で新型コロナウイルスに感染していることがわかったのですが、大丈夫ですか?」と言いました。すると、女性は明るい声で、「はい、大丈夫ですよ。先ほども同じ患者さんがいらっしゃいました。今日はこれで4人目ですよ」「あちらの一番端の席にお座りになってお待ちください」と言われました。

何だか拍子抜けした感じでした。待合室にはインフルエンザなのか、激しく咳き込んでいるような中学生や高校生の姿もあり、逆に私の方が「こんなところにいて大丈夫か」と心配になったほどでした。

別に会社員として勤務しているわけではないのですが、委託された仕事が滞ることになるので、仕事先に電話したら、「じゃあ、5日後の〇日の〇曜日に来てくださいよ」と言われました。私は、わざととぼけて「エッ、一週間じゃないの?」と言ったら、「また、また、国の指針では発症してから5日ですよ。お願いしますよ」と言われました。最低でも一週間は休もうと思っていたので、「チェッ」と心の中で舌打ちしました。

因みに、電話口の彼は、初期の頃に感染して、ホテルに10日間「監禁」(本人の弁)されたそうで、「地獄だった」と言っていました。「今は楽でいいようなあ」と羨ましがられました。

■ワクチンとペット ※追記


その後、私の知り合いでも感染者が続出しています。彼らに話を聞くと、当然、弱毒化もあるでしょうが、ワクチンを接種することで重症化リスクを避けることができるという、専門家の言葉を裏付けているように思いました。中には80代や70代の人もいますが、みんな軽症で済んでいるのでした。

咳き込んで痰が出たりする症状を考えると、肺炎になってもおかしくないような気がしましたが、それを食い止めているのがワクチンの効果だったのではないかと思いました。私の身内にもいますが、うんざりするくらい無知蒙昧なワクチン陰謀論にとらわれている人間も多いので、あえてそう言いたいのです。

日本では、2024年2月4日現在で、4億2263万5734回接種が行われているそうです。接種率(初回接種)は82%で、フランスと並んで5番目です。日本より高い接種率の国は、カタール(99%)、中国(87%)、韓国(87%)、イタリア(83%)です。

前も紹介しましたが、長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授は、『感染症と文明』(岩波新書)の中で、感染症の起源は野生動物の家畜化にある、と書いていました。

関連記事:
『感染症と文明』

(これも前に書きましたが)一部で強く警告されているにもかかわらず、相変わらず犬を連れて山に登っている人がいますが、感染症を考える場合、ワクチン陰謀論と同様、彼らの”無知”と”矛盾”をもっと指摘すべきではないかと思います。

と言って、私の実家も子どもの頃から犬を飼っていたので、私以外のきょうだいはみんな、犬や猫を「家族の一員」として溺愛するペット大好き人間で、私自身も犬や猫は可愛いなと思う人間の一人ですが、しかし、感染症のリスクの問題はそれとはまったく別の話です。可愛いからと言って思考停止する愚を犯してはならないのです。

たとえば、沢井製薬のサイトには次のような記述がありました。

サワイ健康推進課
愛するペットが人の病気の原因とならないために知っておきたいこと

1 ペットとの濃厚な接触は避ける

ペットの口の中にいる菌に感染するおそれがあるため、口移しでエサを与えたり、食器を共有したり、キスをしたりすることはリスクのある行為だということを知っておきましょう。ペットと一緒の布団で寝ることや、ペットの毛に顔をうずめて「吸う」ことなども、濃厚接触に当たるため、避けたほうがよい行動です。ペットの毛に感染症を引き起こす菌が付いている場合もあります。

また、ペットを触った後は、必ず流水で手を洗うようにしましょう。毛や唾液などに感染症の原因となる菌が存在することがあるため、ペットを触った後、気づかないうちに口や目、傷口などを触ってしまうと、感染する危険性があります。


ペット関連の市場は約1兆6千億円もあり、資本にとっても美味しい市場なので、ペットと感染症の問題はいつの間にかタブーになった感さえありますが、来るべき新たなパンデミックを「正しく怖れる」ためにも、身近にある感染症のリスクを知ることはまったく無駄ではないはずです。そこから学ぶことは多いのです。
2024.02.10 Sat l 新型コロナウイルス l top ▲