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(写真AC)



■皇室をも凌ぐ礼賛報道


今朝(21日)、ドジャースの大谷選手の専属通訳で、大谷ファンからも「一平ちゃん」などと言われて親しまれていた水原一平氏が、違法賭博に関与したとしてドジャースを解雇された、というニュースが駆け巡りました。それは日本のメディアではなく、アメリカの複数のメディアがいっせいに報じたものです。

報道によれば、大谷選手の口座から450万ドル(日本円でおよそ6億8千万円)が違法なブックメーカーに送金されていたそうです。

つい先日のドジャースVS韓国代表戦でも、スタンドで大谷選手の新妻と水原氏の妻が並んで観戦するなど、大谷選手と水原氏が、単に選手と通訳の関係にとどまらない親しい関係にあったことは想像に難くありません。

それにしても、このところの大谷フィーバーは異常でした。特に結婚があきらかになってからは、皇室をも凌ぐほどの礼賛一色に染まったのでした。日本のメディアは、新妻の一挙手一投足を、傍で見ていると恥ずかしくなるほどの最大限の賛辞で報じていたのです。

野球だけでなく、大谷選手の新妻が所属していたバスケットボールチームの「富士通レッドウェーブ」が勝利すると、「結婚を祝う白星!」(スポニチ)などとぶち上げるあり様でした。早稲田に進学したのも、卓球の愛ちゃんと同じようにスポーツ推薦で入ったにすぎないのですが、「超ハイスペック」だとか言って、文武両道の才媛のように報じているのでした。

ドジャースにしてもパレドスにしても、両球団にはあんなに日本人選手がいるのに、開幕戦の”興行権”を韓国に奪われて、日本は文字通り後塵を拝したのでした。普段なら、ネトウヨから両球団の日本人選手が在日認定されてもおかしくないのですが、何故か彼らもおとなしく、日本人にとって屈辱的な(はずの)開幕戦をスルーしているのでした。

韓国の球場は空席が目立っていたにもかかわらず、韓国中も大谷フィーバーで沸いているように報じ、その報じ方は、間違いなく昨今の“皇族女子”の上を行くものでした。

あの朝日新聞でさえ、大谷人気は「日米韓と国境を越えて」広がっており、韓国人の「反日感情」も「ショーヘイに抑え込まれた」などと言う始末です。韓国人にとって、「日本人選手は日韓戦で対戦する『敵』という認識が強かった」けど、大谷選手の活躍がそんな「複雑な感情を吹き飛ばした」のだと。ホントかよと言いたくなります。

日本のメディアに言わせれば、大谷選手は、どんな政治家よりも、皇室の誰よりも凄いのです。小室夫妻の叩かれようと比べると、どっちが皇室かわからないような感じです。

でも、スタンドは空席が目立ちました。メディアは、チケットが高額だからと言うのですが、そんな凄い選手なら金に糸目をつけないはずです。チケットが高いから行かない、その程度のフィーバーなのかと思いました。

■シビアな現実


しかし、それも昨日までの話で、現実はよりシビアだったのです。ただ、それも、アメリカのメディアやドジャース球団がシビアだったにすぎません。日本のメディアは、あれだけ張り付いて、夫妻の一挙手一投足を微に入り細にうがって報じながら、大谷の結婚も今回の水原氏のスキャンダルもまったくノーマークだったのです。

私たちは、大谷の何を知らされていたのか。メディアが伝えたのは、新妻のZARAの5千円のバッグやしまむらのニットのセーターのような話ばかりです。それも、セレブなのに安物を身に着けているから「好感度爆上げ」みたいな、愚民向けの痴呆的な話なのです。日本のスポーツ新聞の記者たちは、今やコタツ記事を書くのが仕事みたいになっていますが、ジャーナリストとしてマトモな取材すらしてなかったのではないか、そう思えてなりません。田崎史郎ではないですが、恥を知れと言いたくなります。

その点、ドジャースにとっては、大谷を使ったビジネスと企業としてのコンプライアンスはまったく別のものだったということでしょう。前横浜DeNAのトレバー・バウアー投手の処遇でも示されたように、コンプラに対する姿勢がMLBとNPBとでは大きく違うのです。

そこでふと思ったのですが、6億8千万円を送金したのも、メディアや大谷の代理人の弁護士が言うように勝手に使われた「窃盗」ではなく、水原氏の賭博の損失を大谷が知って、大谷の黙認のもとに送金(補填)したのではないかということです。日本のメディア(特にスポーツ新聞)は、今までも大谷に関して肝心なことは何ひとつ報道してないので、彼らが言っていることをそのまま鵜呑みにすることはできないのです。

と思ったら、案の定、水原一平氏が一夜で証言を変えていることがわかりました。それを伝えているのは、「FRIDAY DIGITAL」でした。

Yahoo!ニュース
FRIDAY DIGITAL
「大谷翔平がパソコンから送金」通訳・水原一平氏が「詳細すぎる回想シーン」を“半日で撤回”のナゾ

水原氏は、現地時間の19日夜に、スポーツ専門チャンネルESPNのインタビューを受けて、詳細を語っているそうです。

《自分で穴を掘ったのに、その穴はどんどん大きくなり、そこから抜け出すためにはより大きな賭けをしなければならなくなり、負け続けることになったのです。雪だるま式の現象のようなものです》

として自分がギャンブル依存症であることを認めており、泥沼の深みにはまっていったことを自覚している。

「水原さんはインタビューで、大谷さんにお願いしたうえで、借金の支払いに同意してもらったと話していました。そして水原さんが同席し見ている前で大谷さんが自分のコンピューターにログオンし、昨年、数ヵ月間に分けて電信送金を行ったと話した。

インタビュアーに“なぜ大谷がボウヤーの関係者に直接支払うのではなく、単にあなたにお金を渡さなかったのか”と質問されると、水原さんは“大谷はお金に関して私を信頼していない”と明かしています。(略)」(スポーツライター)

しかし水原氏はこのインタビューの翌日の午後、発言した内容のほとんどを撤回したという。

あれだけ具体的なシーンを回想し証言していたにもかかわらず、半日ほどで

《大谷は何も知らない》

と証言を180度転換したのだ。


ドジャースの”韓国シリーズ”を放送したテレビ朝日などは、アメリカの多くの州ではスポーツ賭博は合法化されているけど、ドジャースの本拠地のカルフォルニア州はまだ違法なので、それで引っかかったんだろうみたいな言い方をしていますが、合法・違法に関係なく、賭博の対象となるMLBは、所属する選手や関係者がスポーツ賭博に関与することをきびしく規制しているのです。そもそも水原氏が手を染めたのは、合法の州でも違法な(アンダーグランドの)ブックメーカーだったそうです。だから、送金した大谷のお金について、マネーロンダリングの疑いも持たれているのです。テレ朝がほのめかすように、運悪くたまたま引っかかったというようなヤワな話ではないのです。

水原氏は、エンゼルスにいた2022年には既に億単位の負債を抱え、大谷が「肩代わりした」という話もあります。そして、最終的に(少なくとも)450万ドル=6億8千万円もの負債を抱え、大谷の口座から返済したと言うのです。ところが、インタビューのあと、大谷側は急に、大谷が肩代わりしたのではなく、知らない間に「窃盗」されたんだ、と言いはじめたのでした。そうなれば、私は逆に、賭博をやっていたのはホントに水原氏だけだったのか、と下衆の勘繰りさえしたくなるのでした。

もし水原氏が当初証言したように、大谷がみずからパソコンを操作して送金したのなら、大谷は捜査の対象になるだけでなく、MLBからもペナルティを課せられる可能性がある、とアメリカの法律に詳しい専門家は指摘しています。いづれにしても、これでバカげた大谷フィーバーに水が差されたのは間違いありません。いつかは落とされるだろうと思っていましたが、こんなに早く手のひら返しが訪れるとは思ってもみませんでした。

もっとも、日本のメディアが大谷フィーバーを過剰に演出したのも、自分たちの利益のためです。大谷が金のなる木だったからです。大谷にタカっているという点では、水原一平氏と同じなのです。

英語に「you reap what you sow」ということわざがありますが、日本のメディアはこれから「みずからで撒いた種をみずからで刈り取る」醜態を演じなければならないのです。それは大谷も同じかもしれません。

■日本のメディアはクソ ※追記


最初の報道から24時間以上が経ち、やっとと言うべきか、水原一平氏が一夜で証言を撤回した問題を日本のテレビや新聞も報じるようになりました。しかし、それもアメリカのメディアの報道を紹介するだけで、自分たちが独自に取材したものではありません。

この問題をスクープしたロサンゼルス・タイムズのディラン・ヘルナンデス記者や、水原氏にインタビューしたESPNのティシャ・トンプソン記者を見ると、これぞホンモノのジャーナリストという感じでカッコいいなと思います。彼らがやっているのはジャーナリストの基本である調査報道です。

スポーツチャンネルのESPNが90分にわたって水原氏にインタビューしたのは、大谷選手の広報担当者からの紹介だったそうです。広報担当者は、水原氏をメディアの前に出して、大谷選手はあくまで善意の被害者であることをアピールしようとしたのでしょう。

ところが、上述したように、水原氏は、インタビューの中で、借金の肩代わりを大谷に頼んで、大谷自身が水原氏の目の前でパソコンを操作して、違法カジノの胴元へ送金したと証言したのです。大谷はどうして現金を水原氏に渡さず、みずから送金したのかという質問に対して、水原氏は、「お金に関しては大谷は自分を信用してないからだ」と答えているのでした。

この証言が大きな波紋を呼び、大谷自身の関与(法的責任)が疑われるようになったため、翌日、水原氏が態度を一変して、インタビューの証言を全面的に取り消したのでした。日本だったら、メディアも同じように忖度するので、大谷側の目論見通りにこと・・が運んだでしょうが、アメリカではむしろそれがアダになり、水原氏は大谷のスケープゴートにされたのではないかという話さえ出て来たのでした。

日本と違ってMLBは地域密着なので、ロサンゼルス・タイムズはドジャースの地元の応援団のような新聞です。しかし、それでもこのようにスキャンダルはスキャンダルとして果敢に報道するのです。それに比べると、発表ジャーナリズムに飼い慣らされ、ジャーナリストの本分を忘れた日本の記者は、(誰かのセリフではないですが)ホントにクソみたいな連中だなとつくづく思います。

今回の問題をそういったジャーナリズムのあり様という視点から見ることも必要な気がします。
2024.03.21 Thu l 芸能・スポーツ l top ▲