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今年の春オープンしたばかりのノースポートに行きました。

ノースポートは横浜の市営地下鉄・センター北駅(写真)に隣接したショッピングモールで、ららぽーと横浜と同じ都筑区にあります。

最近、いろんなところで、「横浜の港北はすごいことになっている」という声を耳にしますが、たしかに、現在、港北地区では大規模ショッピンセンターの建設が目白押しです。

イケア港北ららぽーと横浜・ノースポートにつづいて、今秋にはトヨタ自動車が手がけるショッピングモール・トレッサ横浜がオープンしますし、来年には新横浜の駅ビルも完成予定です。

「本当に大丈夫なんだろうか?」とネットにも書込みがありましたが、たしかに他人事ながら心配になってきます。

ノースポートは、エイアイ・アセットサービスというアセットマネジメントの会社がパルコと組んで開発しためずらしいケースで、パンフレットによれば、延床面積約141,400㎡の地下2階地上9階の建物に110の店舗が入っているそうです。

センター北駅には決して順風満帆には見えない阪急百貨店(モザイクモール港北)が隣接していますし、隣のセンター南駅には港北東急百貨店もあり、ネットの書込みならずとも大きな賭けであることは誰の目にも明らかです。

また、駅からノースポートに行く途中には「ららぽーと横浜行きのバスはこちらです」という看板を持った女性が立っていました。センター北駅からはららぽーと横浜への無料の送迎バスも出ているのです。余談ですが、私が住んでいる最寄駅を通る市営バスもいつの間にか「ららぽーと横浜行き」に変わっていました。ららぽーと横浜恐るべしです。

ただ、ノースポートの場合、来春、東急東横線の日吉駅に接続される新しい市営地下鉄の路線が開通するので、そういった将来性を見込んでの計画でもあるのかもしれません。

それにしても、かつては郊外など一顧だにしなかったパルコもとうとう宗旨替えしなければならなくなったのかと思うと、やはり、時代の流れを感じないわけにはいきません。

一方で、平日とは言えちょっとさみしいノースポートの店内を歩きながら、私は、先日訪ねた横浜橋の商店街を思い出しました。

横浜橋は「庶民的」という言葉がぴったり来るような下町情緒の残った、いわばノースポートとは対極に位置する商店街です。特に食品関係の店が多く、惣菜などを売っている屋台が並んだアーケードの両側からは、昔ながらの元気な掛け声が飛び交っていました。また、アーケードから横に入った通りには韓国や中国系の飲食店も多くて、店の前では若い女性が携帯電話を片手に韓国語でまくし立てているような光景も見られました。

その1週間前、私は、鎌倉の大船の商店街を訪ねたのですが、その際、商店街の外れにある飲み屋街で、まだ日が高いうちからあがた森魚の「赤色エレジー」を熱唱しているおじさんと知り合ったのです。

「あんた、ここで何やってるんや?」
「いや、大船には昔ながらの商店街がまだ残っていると聞いたので見に来たんですよ」と言ったら、「だったら、横浜橋に行ってみな。あそこも味がある街やで」と言われたのです。

大船もそうですが、横浜橋の商店街を歩いていると、なんだかホッとする自分がいます。それは郊外の街にはない感覚です。

去年まで住んでいた埼玉の街もやはり典型的なベットタウンだったのでよくわかるのですが、こうして横浜の郊外の街をまわっていると、同じような家族構成の同じような生活レベルの人達が集まる郊外の生活というのは、孤独感や疎外感と常に背中合わせのような気がします。だから、ちょっとした挫折や失敗でも精神的に行き詰ってしまうようなところがあるのではないでしょうか。

その点、長い時間をかけその土地の風土がつちかって出来た街には、ありきたりな表現ですが、やはり、人の温もりがあるような気がします。それがホッとする所以なのでしょう。いろんな人がいて、いろんな生き方がある、それがわかるだけでもどんなに気が楽になるでしょう。もとより人間というのは、郊外のような規格化された生活から常にはみ出す存在でもあるのではないでしょうか。

最近、郊外ばかりが脚光を浴びて横浜橋のような昔ながらの商店街が衰退していると言われますが、それは、おしゃれで便利な生活の代償として、ひとつの決まった生き方を強いられるような息苦しさを感じないでもありません。
2007.08.06 Mon l 横浜 l top ▲