赤レンガ倉庫


ふと海を見たくなり、横浜港(新港埠頭)に行きました。赤レンガ倉庫は今やみなとみらいの代表的な観光地になっているのだそうですが、平日の昼間だからなのか、建物の中はそれなりに入っていたものの外は人もまばらで閑散としていました。

それに、赤レンガの倉庫といっても2棟しかありません。しかも、周辺はきれいに整備されているので、トレンチコートに葉巻を咥えた宍戸錠が突然建物の影から姿を現す、そんな往年の日活無国籍映画に出てくるような倉庫街をイメージしていたらがっかりするかもしれません。

広場には期間限定でスケートリンクが造られているのですが、正直言って、如何にも俄か造りといった感じのしょぼいリンクでした。

ところが、これが夜になるとライトアップされ、恋人達も酔い痴れるロマンチックな風景に一変するのだそうです。やはり、陽が高いうちに来たのが間違っていたのかもしれないと思いました。

リンク上では齢70に届こうかというようなニット帽を被った老人がひとり異彩を放っていました。そのテクニックは群をぬいており、子供達が嬌声を上げる中、まるで何かにとり憑かれたかのように、赤いマフラーを風になびかせながらリンク上を周回していました。

その場にいた人達はやや引いた感じで彼を見ていました。そして、そんなまわりの目を意識したのか、突然、彼は安藤ミキティばりに両手を前に突き出し左足を後に上げて、右足だけで滑りはじめたのです。私は、そのうちトリプルアクセルでもやるんじゃないかと密かに期待しながら見ていたのですが、さすがにそこまでのテクニックはなかったようです。

横浜大桟橋診療所

大桟橋に行く途中、ぽつんと昔の風景が残っている一角がありました。背後の白い建物には「横浜大桟橋診療所」という文字が見えました。こういった風景を目の前にするとホッとすると同時に何だか胸がつまるような気持になります。でも、まわりは鉄柵に囲われた空地が目立ち、この風景も風前の灯火といった感じでした。

九州では子供の頃、路面電車が走っていて、街中から国道沿いの海岸線に電車がさしかかると、車内に潮の香りが漂ってきたものです。そんな思い出を追憶したい気持もあったのですが、季節のせいなのか、横浜の海は何故かあの潮の香りがしませんでした。それがちょっと残念でした。
2007.12.12 Wed l 横浜 l top ▲