大船商店街01

大船と言えば、かつて松竹の大船撮影所があった場所として有名で、俳優の笠智衆さんによる『大船日記―小津安二郎先生の思い出』という本もあるくらいです。

しかし、実際の大船は、一般的な鎌倉のイメージとは違ってきわめて庶民的な街です。特に東口の仲通り商店街は活気に満ちあふれています。地元の人に聞くと値段も安いそうです。大船駅でもご多分にもれずJRがエキナカなるものを作り利用客の囲い込みを行っていますが、エキナカなんてクソ食らえ!と言ってるようで頼もしい限りです。その意味では大船にはまだ街が残っている(街が殺されていない!)と言ってもいいかもしれません。

大船の商店街では買い物カゴを下げたお年寄りをよく見かけますが、やはり、それだけ歴史の古い住宅地だからなのでしょう。特に女性が元気な街のような気がします。撮影所の跡地に女子大ができたということもあって、街を歩いている若者も女の子の方が溌剌としています。一方で、意外にも大船は大手メーカーの工場なども多く、そういった関係で一番街のような渋い飲み屋街も健在です。

大船のような等身大の街を歩いていると、やっぱり街はいいもんだな~とあらためて思いますね。それは、「楽しい生活」だの「おしゃれな生活」だのといった、それ自体ほとんど意味のないお仕着せのイメージで塗り固められた駅ビルやショッピングセンターでは絶対に味わえない感覚です。

大船大仏01

西口にはご存知、観音さまが鎮座ましましています。と言っても、胸から下は土に埋まっており、木立の間からひょっこりと上半身を現しているその姿は異様な感じがしないでもありません。私などは不謹慎にも東京タワーの背後に屹立するモスラを連想してしまいます。しかし、ネットで調べたところ、この大船観音は意外と歴史が古く、(信仰する人達には失礼な話ですが)思っていたほどいい加減なシロモノではないことがわかりました。特にアジアからの参拝客が多いというのは面白いなと思いました。夜になるとライトアップされるためいっそうその異様さが増し、個人的には夜の方が一見の価値ありだと思います。
2008.03.14 Fri l 横浜 l top ▲