目まいのする散歩

不思議なもので、お盆がすぎた途端に朝夕はめっきり凌ぎやすくなり、吹く風が心地良く感じられるようになりました。今日は日中でも気温が26度までしか上がらず、どことなく秋の気配を感じました。“処暑”とはホントによく言ったものだと思います。

オリンピックの野球(日本対韓国戦)を観終わってから散歩に出かけました。環状2号線の大豆戸の交差点から新横浜まで歩きましたが、帰って万歩計を見たら7千歩弱でした。散歩と言っても歩数はたいしたことがないのです。それに比べて、電車で出かけて一日仕事をすると大概1万歩は超えています。カロリーの消費(運動)という点から考えれば、普段の生活でなるべく歩くように心がけた方がよほど合理的で効果的な気がします。

武田泰淳の『めまいのする散歩』(中公文庫)を再読しました。前に読んだのはたぶん20年以上前だったと思います。散歩する楽しみというのは、途中で出会う風景や人を見てあれこれ空想することにあります。やはり、”身体”というのは大事で、汗をかいて歩きながら考えることとパソコンの前で考えることには、それこそ千里の径庭があるように思います。

武田泰淳は、散歩の途中、最新のファッションで「楽しげに、無神経に」原宿の表参道を歩いている若者達を見て、「何と沢山の苦悩が、そのあたりの空気に浮遊していることだろう」と書いていましたが、これこそ小説家の眼だと思いました。先日の芥川賞の選評ではないですが、小説がその苦悩にまで届くような言葉を持っているかどうかでしょう。

帰ってからノートパソコンのHDDを交換しました。普段はデスクトップを2台使っているのですが、他にHDDのエラー表示が出たままもう1年くらい放置しているノートパソコンがありました。それで、ふと思いついて、自分でHDDを交換することにしたのです。実際にやってみると、実に簡単でした。デスクトップなどよりはるかに簡単です。メモリも既に増設しているのですが、さらに2Gに増設すべくネットで注文しました。これでノートパソコンも完全に生き返ることでしょう。
2008.08.22 Fri l 本・文芸 l top ▲