
横浜の官庁街ともいうべき関内の表通りは銀杏並木で有名ですが、時間ができたのであたりを散策しました。黄色く色づいた通りを歩いていると、移ろいゆく季節の刹那さのようなものをしみじみと感じます。
最近、老人介護施設に行く機会が多いのですが、そこで出会うお年寄り達はまぎれもなく将来の自分の姿なんですね。人間というのはこうして人生の終わりを迎えるのかと切実に感じます。
お年寄りを見ていると、人生で何が大事かというのがわかる気がします。お年寄りは自分が一生懸命生きてきたということに対して、それぞれ心の中に小さな誇りを持っているのです。その小さな誇りが老後を生きる心のよすがとなっているのですね。五木寛之さんも常々言っているように、どんな人生であれどんな生き方であれ、生きてきた、生きぬいてきたという、ただそれだけでもすごいことだし立派なことだと思いますね。銀杏並木の下を歩きながらそんなことを考えました。
そのあと、本を買うために伊勢佐木町の有隣堂本店に行きました。有隣堂の真向かいの先日閉店した松坂屋のビルは白い囲いにおおわれていました。また、周辺も急に空き店舗が目立つようになり、あらためて伊勢佐木町の置かれているきびしい現実を見せつけられた気がしました。開港150周年を前にして、このようにいたるところで横浜の”記憶の積層”が消えているのは皮肉なものです。