渋谷1092008年12月

写真は今年の渋谷109のクリスマスです。

渋谷や原宿を歩いていると、クリスマスが年々さみしくなっているのを痛感します。地元の商店主達の口から出るのも悲観的な話ばかりです。駅前が再開発されるまで当分はこの状態をしのぐしかないのかもしれませんが、少なくとも渋谷や原宿が地域間競争で後塵を拝しているのはたしかな気がします。それは、長年の悲願であるにもかかわらず、未だ“若者の街”から脱皮できないからでしょう。

渋谷駅2008年12月

一方で、若者達が置かれている状況も益々悪くなるばかりです。“派遣切り”などと言われる大手企業による非正規労働者の雇用調整が広がっていますが、なんだか秋葉原事件の犯人が提起した問題がここにきて一気に表面化してきた気がします。厚労省の調査では来年3月までに約3万人の非正規労働者が失業する見通しだそうですが、労働団体には10万単位の労働者が失業するのではないかという悲観的な見方さえあるようです。

「ロストジェネレーション=失われた世代」? ざけんじゃねえ! 「失われた」んじゃねえ。「われわれ」が生きていくために必要なsomethingを、誰かが「奪ってきた」んだろ。全国のロスジェネ諸君! 今こそ団結せよ!


これは、今春創刊されたインディーズ系雑誌『ロスジェネ』の巻頭に掲げられている「ロスジェネ宣言」なるものですが、年の瀬に“派遣切り”で情け容赦なく路上に放り出されている多くの若者達を前にすると、既得権者から奪われたものを取り返すなんていう言説さえなんだか牧歌的に思えるほどです。

ある若者向けのショップのオーナーは、表の通りを行き交う若者達を指さしながら、「だって、彼らの多くはフリーターや派遣だからね。ものが売れないのは当たり前でしょ」と言ってましたが、その言葉が現在の渋谷や原宿の置かれている状況をよく物語っているように思いました。

それにしても、この不況で真っ先に寒風に身をさらされているのが若者と高齢者であることを考えるとき、今更のように製造業の派遣解禁や後期高齢者医療制度を導入したあの小泉改革とはなんだったのかと考えざるを得ません。

※追記

雇用情勢が急速に悪化する中、今年10月から来年3月までに職を失ったか、失うことが決まっている非正規労働者が約8万5000人に上ることが26日、厚生労働省の調査でわかった。
今月19日時点で把握した数値で、前回調査(11月25日時点)の約3万人に比べ、3週間余りで2・8倍に急増した。(12/26 読売新聞より)


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2008.12.22 Mon l 東京 l top ▲