韓国在住の方から商品について問合せがありました。実際は弊社では扱ってない商品なのですが、韓国で販売したいと言うのです。何回かのメールのやりとりのあと、私は以下のような返事を出しました。これは私自身が日頃感じていることですし、とりわけネットショップをやっている多くの人達も同じように感じていることではないでしょうか。

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お問合せいただいた商品は、いづれもファンシー文具の会社の商品で、弊社では残念ながら取り扱っておりません。それに、文具の会社は非常に保守的で、日本的な商慣習にしばられていますので(ビジネスがオープンではありませんので)、通常は問屋か小売店で仕入れるしかありません。従って、そんなに安く仕入れることはできないと思います。

お尋ねしたいのですが、○○さんはご自分で小売店(ショップ)を開いているのですか? シール(ステッカー)はそこで販売したいと考えているのでしょうか?

だとすると、ネットを通して取引をはじめるのは現実的には難しいと思います。まして、上記のような会社は、非常に古い体質が残っていますので、ネット取引自体を嫌がる傾向があります。アメリカなどの方がはるかにネットでの取引が可能(ビジネスがオープン)ですよ。

たとえば、私達が上記の会社に取引したいとメールを送っても返事もくれません。また、上記の商品を扱っている問屋に連絡してもなかなか取引をしてもらえません。たとえ現金払いであってもです。中には別に保証金を入れれば商品を売ってもいいなんて言う会社もあるくらいです。

取引ができるという保証があるわけではありませんが、できれば一度見本市などに来て、直接商談をするのもひとつの方法かもしれません。ただ、文具業界はそのように非常に古い体質がありますので、門戸が狭い(なかなかビジネスのサークルに入れてもらえない)ことは覚悟された方がいいでしょう。だからと言って、文具業界が新規取引を断るくらい景気がいいわけではなく、むしろ逆です。要するに、業界特有の村社会の論理(習慣)からぬけられないだけなのです。

以前、原宿の取引先の店で、韓国から来た方が若い女の子向けのソックスやレッグウォーマーを大量に買っているのに遭遇しました。「そんなに買ってどうするのですか?」と聞いたところ、「韓国で店をやっているのでそこで売ります」と言ってました。「でも、定価で買った商品を売っても高くて売れないのではないですか?」と訊いたところ、「日本製のいいものだったらある程度高くても売れます。それに、この商品を参考にして自分達で商品を作るつもりです」と言ってました。なるほどなと思いました。そういうことも方法かもしれませんね。

お役に立てず申し訳ありませんが、以上、ご連絡申し上げます。
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こういうところにも広くネオリベラリズム(新自由主義)を受け入れる背景があるように思います。正直言って、私の中にもあります。この現状を打破するには、徹底的に規制緩和して、市場原理主義にすべてを委ねるしかないんじゃないかと思ってしまうのです。
2009.07.11 Sat l 仕事 l top ▲