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プロフィールの中でも書いていますが、私がこの業界に入ったのはポストカードの輸入の会社に勤めたことがきっかけでした。日本に初めて海外のポストカードを紹介した会社として業界では知る人ぞ知る有名な会社でした。

当時扱っていたポストカードがまだ手元に残っていますので、随時紹介していきたいと思っていますが、中でも私が好きなポストカードはこのナイーフという会社のカードです。

ヨーロッパのポストカードは、各都市を代表する会社があり、それぞれの都市の文化を反映しているのですが、ナイーフはパリのポストカードの会社です。

もちろん、写真はどれも有名な写真家の作品で、それ自体ひとつのアートでもあります。そして、それぞれパリの街角の雰囲気を漂わせているような写真ばかりで、それがすごくおしゃれなのです。

シールも同じですが、やはり、本場のものはどこか違うのです。それは、文化的な下地があるかどうかではないでしょうか? 端的にいえば、オリジナルなものとコピー(モノマネ)の違いだと思います。

日本で売れるポストカードには、当時、”三原則”があるといわれていました(といっても、それは、我々の間で自嘲気味に言っていただけですが‥‥)。その”三原則”というのは、かわいい・きれい・かっこいいです。

かわいいはキッズ、きれいは花、かっこいいはカップルです。そういった絵柄のポストカードであれば売れるのです。

それで、私達の役割は、膨大なサンプルやカタログの中からそういった”三原則”のポストカードをただ選ぶことだけでした。それは、すごくむなしさの伴う作業でした。

また、実際に見比べていただければわかりますが、海外のポストカードと国産のポストカードでは紙質が全然違います。

それで、私は静岡の富士市の製紙会社に行って、「どうしてヨーロッパのポストカードに使われているような紙がないのですか?」と尋ねたことがありました。

応対していただいた担当者の方によれば、日本にも同じような紙がないわけではないけれど、ただ、日本の場合は紙が高いので、ポストカードではコスト面で採算が合わないからではないか、というお話でした。

今では大手の雑貨専門店の売場でも輸入のポストカードはめっきり減り、”三原則”に徹した国産のカードの中でなんだか肩身の狭い思いをしている感じです。それは、やはり、さみしい光景です。
2005.08.29 Mon l 仕事 l top ▲