秋はどうして人をメランコリックな気分にするのでしょうか。若い頃はこの季節になるとよく胸がキュンとしたものです。胸がキュンとするのは、主にフェニルエチルアミンという脳内物質が分泌するからだそうですが、では、そういった脳内物質の分泌と気温や湿度はなにか関連があるのだろうかと、身もふたもないことを考えてしまいました。

日頃は、横浜なんてただの地方都市で、お行儀の悪いブルーカラーの街じゃないかなんて悪態ばかり吐いているくせに、この季節、夕暮れの横浜の街を歩いていると、「横浜っていいな~」と思ったりするのです。人生は思い出ですから、こうして秋の夕暮れに横浜の街を歩いたことも、やがてどこかの老人介護施設のベットの上で思い出すことがあるのかもしれません。

2009馬車道まつり1

2009馬車道まつり2

ちょうど今日から「馬車道まつり」で、関内ホールの前に人だかりができていました。なんだろうと思ったら、10月31日は「ガスの日」とかで、日本で最初にガス灯がともったこの日を記念して、ガス灯の点灯式が行われていたのでした。そのあと、泰地虔郎とトワイライトセッションという地元のおじさんグループの街角ライブが行われていましたが、MCの中で、当時はプロパンもなかっただろうし、ガス灯のガスはどうしてたんだろう?と言ってました。たしかに言われてみればそうですね。それで、帰ってネットで調べたら、既にガス管が通っていてそれでガスを送っていたのだとか。ちなみに、1870年(明治5年)9月に日本で最初のガス工場を造ったのは、あの「高島易断」で有名な高島嘉右衛門です。伊勢山の下の石炭倉庫跡(現在の中区花咲町の本町小学校)にガス工場があり、そこからガスを送っていたそうです。

みなとみらい1.20091031

みなとみらい2・20091031

そのあとはいつものように、みなとみらいを通って横浜駅まで歩きました。週末のみなとみらいはどこもカップルばかりです。みんな手をつないだりして仲がよさそうです。でも、そうやってまだ人の心が移ろいやすいものだということを知らないうちが華かも、なんて意地の悪いことを考えながら汽車道の入口に立ったら、薄明かりの中からこれでもかと言わんばかりにカップルが歩いてくるのです。まるでどこからか湧いて出てくる蟻の大群みたいでした。さすがのおじさんもその不気味さに気圧され、汽車道を歩くのをやめてそそくさと帰ってきました。
2009.10.31 Sat l 横浜 l top ▲