BRUTUS』(2/15号)で、吉本隆明氏が民主党政権について次のように言ってました。

僕が思うに、鳩山由紀夫という人が、今やろうとしていることを、「そんなうまくいくか」とか言わないで、ゆっくりと静かな革命をしようとしている、と正直に捉えてあげてもいいんじゃないか、と思いますよ。民主党には、それだけの人材はいると思うんです。一見、革命と見えないような形でそれをやろうとしている。やり方がまずい以外に失策はないと思いますよ。(略)
危惧もたくさんありますよ。あんなに善良で、気が強くない人が、そういう風に頑張れるかな、と。でも、粘り強く、自分たちの思うことを貫いてくれたら、静かなる革命が成就すると思っていますけどね。
(2010年、吉本隆明が「人はなぜ?」を語る。)


うーん、私自身にも言えることですが、こういった好意的な見方は買いかぶりかもしれないと最近思うことが多くなりました。

『週刊朝日』(2/26号)で上杉隆氏が書いているように、この前代未聞の国策捜査に対しても、鳩山総理をはじめ民主党の対応はあまりにも鈍いのです。どうして記者会見のオープン化すらできないのかと思います。それどころか、政策的にもどんどん後退している気がします。寄り合い所帯の民主党の弱点が出ている感じで、もしかしたら、このまま民主党政権は終わってしまうのではないかという懸念すら抱かせます。「まだ3年半あるから」なんて呑気に構えているわけではないでしょうが、外から見る限り、民主党に危機感は感じられません。前にも触れましたが(「民主党政権」)、政権ができる前から、既得権益を守ろうとする検察やマスコミから幹部達のスキャンダルが仕掛けられるんじゃないかと言われていました。しかし、肝心な民主党にその用意もなかったのです。こんな「革命的警戒心」の欠片もないような政党に政権運営などできるのでしょうか。

ただ、民主党に代わる政党があるのかと言ったら、どこにもないのです。それも大きな問題ですね。政権交代が失敗すると、この国に巨大な政治的アパシーが訪れ、政治的に深刻な状況になるという指摘もありましたが、それも現実になりつつある気がします。再び対米従属に舵がきられ、ドル崩壊を前にしたアメリカにいいようにふりまわされるのかと思うと、背筋がぞっとします。その意味で、民主党の責任は重大です。「政治ごっこ」だなんて言われないためにも、もっと本気度を出してほしいと思いますが、このおぼっちゃま政党には所詮馬の耳に念仏なのでしょうか。
2010.02.18 Thu l 社会・メディア l top ▲