
午後、郵便局に行ったついでにそのまま東横線に乗って、終点の「元町・中華街」まで行きました。中華街や山下公園などはいつもの平日に比べて人が多かったように思います。卒業旅行で来ているような若い女の子のグループが目につきました。あとはどこでも出没する中高年のおっさんとおばさん達です。
うららかな日差しのなかを海岸通りや日本大通りや馬車道などをぶらぶら散歩しました。ホントは野毛山公園に行きたかったのですが、出かける時間が遅かったので今日はあきらめていつもの散歩となったのでした。
3月9日の神奈川新聞に、「野毛の"盟友"しのぶ」という平岡正明氏に関する記事が出ていました。平岡氏は、野毛をことのほか愛していて、なかでも野毛の「萬里」の特別中華ランチ「19番」が大好物だったそうです。『横浜的』でも、「秘法19番 一皿に港町の精髄が」と題し、「19番」の味をとおして「異国情緒が坂の途中で艶歌に変わる」港町・横浜の魅力を書いていたくらいです。
材料は安いものを使っている。安いものは腕で食わせる。これが料理人の誇りだろう。材料は安くでも、油や香辛料や火加減は、南京町の連中も一目置く「萬里」のものだから、一つ皿の上でいい味をかもしだす。野毛は闇市から上ってきたということを示す一皿だ。
(「秘法19番 一皿に港町の精髄が」)
ちなみに、私は『横浜的』の中では、この「秘法19番‥‥」と「シャンソン語り元次郎は野毛のジャン・ジュネである」という文章が好きです。「萬里」の店主・福田豊氏が責任編集した追悼集「アートタイムズ5号・平岡正明葬送パレード」(デラシネ通信社)には、山下洋輔氏・梁石日氏・田中優子氏の弔辞をはじめ、山崎洋子氏や朴慶南氏など平岡氏と交流のあった多くの作家や文化人達が追悼文を寄せていました。

馬車道の裏通りに最近お気に入りのジャズバーがあるのですが、私はほとんど酒を飲まないので、よっぽど気合が入ってないとひとりで入るのは勇気がいります。それで、今日は遠慮して散歩に徹することにしました。
馬車道からはいつものようにみなとみらいに行きました。そして、これも恒例のライドマークタワーのくまざわ書店に寄って本を買って帰りました。ふと思いついて、ボードリヤールの『消費社会の神話と構造(普及版)』(紀伊国屋書店)を買いました。なぜかもう一度、この現代消費社会論のバイブルとも言うべき本を読んでみたいと思ったのです。
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