四谷_2966

早いもので、もう10月です。今年も残すところあと3カ月。

10月は私の誕生月ですが、この年になると誕生日なんて来なけりゃいいのにと思いますね。先日、70才すぎてもなお、現役のピアニストとして仕事をされている方に会った際、敬老の日の話になりました。

「敬老会に行くんですか?」
「行くわけないわよ」
「老人会から招待されないんですか?」
「だから、老人会に入ってないのよ。老人会に入ってなければ関係ないのよ」
「じゃあ、田舎と違うんですね? 田舎の場合、ほとんど強制的に敬老の日には敬老会に招待されて、公民館などで婦人会がご馳走を作って接待するんです。だから、65才になったら自分の意思に関係なく老人扱いですよ」
「まあ、それこそお節介よね。田舎じゃなくてよかった」
「これから老人になる人間から言わせもらえば、敬老の日なんてなくなればいいのにと思いますね」
「あたしもそう思うわ」
「民主党も郵政改革法案なんかより敬老の日廃止法案でも出してもらいたいですよ」
「ホント、敬老の日なんてありがた迷惑よね」

こうして誕生日が来るということは、あの悪夢のような「敬老の日」が1歩づつ近づいているということなのです。「敬老」と言うなら年金をなんとかしろと言いたい。口先だけで「おじいちゃん、おばあちゃん、長生きしてくださいね」と言うのは簡単なのです。

先週の『週刊東洋経済』では、「第2の就活 70歳まで働く! 」という特集が組まれていましたが、私だって70才になっても75才になっても元気なうちは働きたいと思っています(というより働かなければならない)。真昼間から用もないのにホームセンターや家電量販店の中をウロウロして、木の実ナナのような私服警備員から尾行されるくらいなら、元気な老人は働いた方がいいと思いますが、だからと言って、高齢や病気で働けなくなった、特に(官僚が好きな)「自助努力」ができなくなった生活困窮者の老人が見棄てられるような現実は、決して見すごせるものではありません。厚労省が全廃を決定している療養型病床の問題ひとつをとっても、菅政権の言う「最小不幸社会」は悪い冗談だとしか思えません。

「今の菅さん達を見ても、松下政経塾を出たような若い人達が多くて、あの人達は頭はいいのかもしれないけど、政治をただ観念的にシステムとしてしか捉えてないような感じで、人が見えてない気がする。それって怖いわよ」 この老ピアニストの言葉は、今の菅政権の本質を衝いているのではないでしょうか。

四谷土手_2957

今日は午後から慶応大学病院に行く用事があったのですが、久しぶりの晴天だったので、渋谷から青山通り・神宮外苑を通って信濃町まで歩きました。私は会社を辞めてから、5年間くらいほぼ毎日のように神宮外苑から信濃町の慶応大学病院の前を通って四谷三丁目まで車で通っていたことがあります。それで、同じルートを歩いてみようと思ったのです。

また、用事を終えたあとも、四谷三丁目から新宿通りを四谷駅まで歩いて、さらに四谷雙葉の前からお濠沿いの土手を歩きました。四谷の土手は特に木がこんもりと茂っていて、都心とは思えないくらい緑にあふれています。

四谷にももう20年近く通っていますが、都心の街にしてはめずらしくそんなに大きな変化は感じません。小さな飲食店でもつづいているのは、それなりに商売ができているということなのでしょう。四谷という街は、案外住んでいる人が多いということもあってか、ほかの街に比べて「地元意識」のようなものが強いように思います。

今日も新宿通りを歩いていたら、「久しぶり、元気?」と声をかけられました。私は一度も行ったことはないのですが、しんみち通りだかにあるレストランのご主人でした。知り合いの会社で何度か顔を合わせているうちに、顔見知りになったのですが、そういう気さくな一面があります。

土手を歩いている途中、ふと思いついて、近くの会社に勤めている知人に電話をしたところ、市ヶ谷駅の近くのルノアールで待ち合わせることになりました。せきしろの『去年ルノアールで』ではないですが、私達の世代はやはり、ルノアールが落ち着きますね。知人と一緒に某総合誌の元編集者だという人もやってきました。知人の知り合いらしいのですが、有名出版社の裏事情など、いろいろ面白い話を聞きました。特に、社会が騒然としていた70年前後の保守論壇の動向などは興味をそそられました

知人と別れたあと、再び、麹町の旧日テレ通りを上って新宿通りを四谷三丁目まで戻りました。途中、上智大学の前では、ゼッケンをつけた数人の学生がアジ演説をしていました。夕暮れの近代的なビル群の中に、彼らの拡声器の声がやけに大きく反響していました。

帰って万歩計を見たら、1万9千歩でした。


四谷駅_2955
四谷駅

上智大グランド_2963
上智大グランド
2010.10.01 Fri l 東京 l top ▲