仙石由人官房長官が自衛隊を「暴力装置」だと発言したことに対して、産経新聞や朝日新聞などが「失言」だとヒステリックに批判しているのを見るにつけ、私は「なんで?」と思いました。軍隊や警察が「暴力装置」であるというのは、政治学(国家論)のイロハです。だから政治的中立性がよりきびしく保持されなければならないという仙石長官の発言は、至極真っ当なものです。かの池田信夫氏でさえも(といったら叱られるか)、ブログでつぎのように書いていました。

軍隊が暴力装置であり、国家の本質は暴力の独占だというのは、マキャベリ以来の政治学の常識である。それを「更迭に値する自衛隊否定」と騒ぐ産経新聞は、日本の右翼のお粗末な知的水準を露呈してしまった。(アナーキー・国家・ユートピア


民主党を支持するかどうかは別にして、最近のマスコミはこのように常軌を逸しているとしか思えない異常な報道が目につきます。いやしくも言論を生業とする人間(機関)がこのように言葉狩りをするなど、絶対に許されることではありません。こういった言葉狩りの背後にあるのは、左右を問わない全体主義です。彼らが口にする「言論・表現の自由」なるものも、要するにこのような言葉狩りをする自由なのでしょう。北朝鮮や中国の全体主義を批判しているからといって、全体主義の免罪符にはならないのです。産経新聞の北朝鮮や中国批判は反共の側面が強く、全体主義批判は単なる方便にすぎないのです。

先日の健康診断でも「難聴あり」「耳鼻科で検査をしてください」と指摘されていたのですが、2~3日前から左の耳がますます聞こえづらくなりました。ただ、耳たぶを引っ張るとよく聞こえるのです。昨日も仕事先で左耳の耳たぶを引っ張りながら話をしていたら、相手の担当者から「なにしているんですか?」と言われました。それで、「こうすればよく聞こえるんですよ」と言ったら、「もしかしたら耳垢がつまっているんじゃないですか?」と言われました。綿棒を使うとつまってしまって、そのうち聞こえなくなることもあるのだそうです。

「年で難聴になったのかと思っていたけど」
「会社の人間も耳がつまって聞こえなくなり病院に行った者がいますよ」「耳鼻科に行った方がいいですよ」
と言われたので、今日、駅の近くの耳鼻科のクリニックに行きました。

朝いちばんで行ったのですが、既に待合室はいっぱいでした。見ると、大半は幼稚園から小学校くらいの子供と付添いのお母さん達です。本棚には絵本がずらりと並んでいて、受付の棚にも怪獣やロボットのフィギュアが所狭しと並べられていました。まるで小児科の待合室のようです。そんな中、185センチの無精ひげのおっさんが文字通り身のおきどころがないといった感じで、ひとりぽつんと背を丸めて座っているのでした。

先生から「どうされましたか?」と訊かれたので、症状を話したら、隣室のベットに横になるように言われました。そして、左の耳を覗き込んだ先生は、「やっぱり、耳垢がつまってますね」と言って、頭上の器具を使って耳垢を除去してくれました。右の耳も同様に除去して、ものの2~3分で処置は終わりました。

「耳掃除はよくしますか?」
「はい」
「じゃあ、これから耳掃除はしないでください」
「はい」

これで”治療”は完了です。治療代は3割負担で1280円。すると、今まで難聴だと思っていた耳がウソにようによく聞こえるようになりました。まるで川上未映子の『ヘヴン』のラストシーンのようで、帰途、ちょっとした感動を覚えました。
2010.11.22 Mon l 健康・ダイエット l top ▲