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表参道のイルミネーションは、一昨年11年ぶりに復活したのですが、環境に配慮してLEDに切りかえたからなのか、以前に比べるとやや地味な感じを受けます。人出も以前ほどではありません。もっとも、今はいろんなところでイルミネーションが行われていますので、わざわざ原宿に来るまでもないのかもしれませんが。

表参道を歩いている人達を見ると、ここでも若者に混じって中高年の姿が目に付きました。中でも目立つのは、ホテルのランチバイキングのコーナーを占領しているような中高年の女性グループです。彼女達はヴィトンやグッチやシャネルやフェンディなど、誰でも知っているようなブランドのバッグを手に提げているのが特徴です。

道ですれ違う同年代の男性を見ても、結構おしゃれをしている人はいるのです。おそらくその人なりのこだわりをもって、おしゃれしているつもりなのでしょう。しかし、はたから見るとおしゃれしているようには見えないのです。だからといっておしゃれをやめると、”最後の砦”も失ってしまうような気がしてやめるわけにはいかないのでしょう。その気持はよくわかります。

雑誌などでもよく「ナイスミドルになるためのおしゃれ術」なんて特集が組まれて、「年を取るほどおしゃれは必要です」とか「おしゃれをする気持を忘れたらおしまいです」なんて”おしゃれ心”を煽るのですが、それは常に過剰生産恐慌の恐怖にさらされながら拡大再生産をつづけなければならない資本主義の呪文のようなものです。

やっぱり、おしゃれは若者のものです。表参道を歩きながらつくづくそう思いました。何と言っても彼らのおしゃれは街に映えています。そんな若者が羨ましくてなりません。若い頃もっと勇気を出しておしゃれをすればよかったと思いました。

彼らの可処分所得の多くはおしゃれに使われているのでしょう。よくひとり暮らしの女の子から、食事代をけずってでもファッションにお金をかけるという話を聞きますが、そういう”情熱”が羨ましいなと思います。中高年のおしゃれは、どこか「浮いている」感じがあり、ある種の痛ましささえ覚えることがありますが、若者のおしゃれにはそれがないのです。

もちろん、武田泰淳ではないですが、そんな若者達も苦悩とは無縁ではないのでしょう。しかし、少なくともそうやっておしゃれをして街を闊歩している姿は、すがすがしくていいもんだなと思いました。人生において、そういった「楽しい」とか「好き」とかいった気分や気持は、ホントに大事だなと思います。

街を歩く楽しさ、東京にはそれがあります。それが東京の大きな魅力です。

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2010.12.14 Tue l 東京 l top ▲