菅首相が沖縄に行って、仲井知事に普天間の辺野古移転が「ベター」だとして協力を求めたそうです。それに対して、仲井知事が県外への移転を「主張した」と。なんだかタヌキとキツネの化かし合いのようですが、昨年、政権交代が行われたとき、民主党の総理大臣が辺野古移転を求め、自公推薦の知事が県外移転を主張する、なんてことを誰が想像したでしょうか。

小沢国会招致問題も然りです。改革をサボタージュしたツケを小沢氏におっかぶせ、みずからの政権の延命をはかろうという魂胆がミエミエで、こういった愚劣な”党内政治”にうつつをぬかしている間に、「人にやさしい政治」もどこかに吹っ飛んだ感じです。

今日、病院に行ったら、玄関のドアのところに車椅子に乗った顔見知りの患者の方がいました。「どうしたのですか?」と訊いたら、病院の前のマンションの入口にある木を指差して、「今年はまだなんだよね」と言うのです。

なんのことかと思ったら、毎年、この時期になるとマンションの楓の木が電飾されるのですが、今年はまだなので気が気ではないらしいのです。脳梗塞で半身不随になった上に、最近、持病の糖尿病で人工透析もはじまったらしく、以前に比べて声にも張りがなく元気がありませんでした。夜になると自由が利かなくなった足が痛んで眠れないので、毎日、痛み止めを飲んで寝ているのだと言ってました。

私達が表参道だとかお台場だとかイルミネーションに浮かれる一方で、そんなたった1本の小さな木にきらめく光を楽しみにしている人もいるんだなとしみじみ思いました。ただ、クリスマスまでの残り日数を考えれば、彼のささやかな願いが通じる可能性はなさそうですが。
2010.12.18 Sat l 日常・その他 l top ▲