関東地方にも春一番が吹き、気温も20度近くまで上がりました。ただ、そのため花粉の飛散がはじまったようで、目がショボショボして鼻水もとまりません。またあの憂鬱な季節がはじまったのです。とは言っても、やはり春を思わせるポカポカ陽気に心も弾みます。

用事があって、自由ヶ丘と二子玉川(昔風に言えば、「オカジュウ」と「ニコタマ」ですが、今どきそんな言い方をすると笑われます)に行ったのですが、なんだかこのまま引き返すのはもったいない気がして、二子玉川から田園都市線の下り電車に乗りました。しかし、どこか行く宛てがあるわけではありません。

最初はたまプラーザで降りようかと思いました。たまプラにももう4~5年行ってません。駅ビルも改装されたらしいので見てみたい気持もありましたが、でも、やはりどうせなら知らない街に行ってみたいと思いました。それで、そのまま乗ることにしました。

次にあざみ野で市営地下鉄に乗り換えれば、新横浜経由で帰宅できます。しかし、このまま降りるのはなんだかもったいない気がして、まだ先に行くことにしました。

電車に揺られながらボーッと沿線の風景を眺めるのも、それはそれで楽しいものです。ただ、このまま行けば終点の中央林間に行ってしまいます。以前、埼玉に住んでいた頃、終着駅のある街に惹かれ、埼玉や群馬の終着駅のある街をよく訪ねて行ったことがありました。それも終着駅に最終電車が到着するなんとも寂しげな光景を見るのが好きでした。でも、田園都市線の終着駅ではそんな情景は期待できそうもありません。

ドアの上にある路線図を見ているうちに、ふと長津田で降りてみようと思いました。横浜線と接続しているので、横浜線に乗り換えれば新横浜経由で帰ることができます。長津田は、田園都市線と横浜高速鉄道こどもの国線とJR横浜線の乗換駅として名前はよく知られています。それで、少し期待して駅を出ました。

ところが、びっくり、なんにもないのです。ホントになんにもない。駅前に古い農協の建物があり、その前で近在の農家の方が野菜を売っていました。駅周辺は昔の農道の名残のような狭い路地がクネクネと走っており、その先には農地を転用したとおぼしき駐車場があります。駅周辺で目立つのは不動産屋の看板ばかりです。それも地元の不動産屋らしき店がやたら多いのです。

もっとも、この絶好のロケーションにある長津田の開発に大手の不動産業者が手をこまねいているはずもなく、駅前には横浜市住宅供給公社が手掛けるタワーマンションの建設を告げる看板が建っていました(ホントに横浜はタワーマンションが好きです)。長津田駅周辺もこれから大きく変わるのでしょう。

それにしても、こんな開発途上の駅前を見ていると、土地成金も多く出ているんだろうななんて下衆な想像をかきたてられますね。駅前の不動産屋もそんな元農家が転業したのかもしれません。しかし、開発がすすむにつれ、都内から進出してくる大手の不動産屋に駆逐されていくのでしょうか。落胆のあまり写真を撮るのも忘れて早々に駅に戻り、横浜線の上り電車に乗りました。

新横浜に着いて、駅前のスターバックスで休憩しました。ずいぶん遠まわりしたもんだなと思いました。そして、ココアを飲みながら、せわしげに舗道を行き交う人達を眺めているうちに、突然、これから病院に行こうと思い立ったのでした。まだ夕方まで少し時間があるし、薬ももう残り少なくなっているし、それに花粉症の薬を処方してもらいたい気持もあったからです。それで急遽、スタバの前から地下に下りて地下鉄に乗りました。

病院では新薬を飲みはじめてちょうど6ヶ月が経過したので、薬の効果をみるために検査がありました。すると、先生も驚くほど顕著な効果が認められたのです。私もびっくりしました。その新薬の登場で治療が大きく変わるだろうと言われていましたが、ほかならぬ私自身がそれを実感することになったのでした。まだツキはあるなと思いました。

病院からの帰り、目はショボショボしていたものの、気分はすごく晴れやかでした。まったく現金なものです。人生は気分次第。気分次第でどうにでもなるのですね。橋の上から夕陽を浴びた鶴見川の川面を眺めていたら、いつの間にか感傷的になっている自分がいました。そして、今度、この川を河口まで歩いてみようと思いました。
2011.02.25 Fri l 日常・その他 l top ▲