上原美優自殺のニュースをみていたら、見覚えのある建物が出てきたのでびっくりしました。芸能レポーターが「1階にコンビニが入っている」と言ってましたので、以前知人が住んでいたマンションに間違いありません。東横線の「学芸大学」の近くにあるマンションで、私も一度だけ行ったことがありますが、家賃は10万円もしないワンルームの部屋でした。かけ出しのバラエティタレントとはいえ、芸能人にしてはずいぶん質素な生活をしていたんだなと思いました。海老蔵事件との接点もとりだたされていますが、一方で、待遇面の不満をもっていたという記事もありましたので、芸能界の派手な仕事と現実の生活とのギャップもあったのかもしれません。

もっとも、彼女は二度リストカットした過去があるそうですから、メンヘルの傾向があったのは間違いないでしょう。テレビから受ける印象も、どこか危うい感じがありました。彼女のなかでは「家族」や「母親」の存在が大きかったようですが、それはそれだけ家族の愛情に飢えていたことの裏返しだったのかもしれません。

早朝、マンションの屋上から身を投げた女の子がいましたが、夜明け前にひとりで屋上への階段を上って行くとき、どんな気持だったんだろう、泣きながら上って行ったんだろうかと思ったことがあります。そこにある孤独は、とてつもなく大きなもので、もはや誰もその内面にまで踏み込むことはできないように思いました。よく自殺する人間は「助けてもらいたい」というシグナルを発していると言いますが、結局、誰も止めることはできないのだと思います。生きていればいいこともあるなんて言っても、彼らはもう既にそんな言葉のはるか先を行っているのですね。「止める」なんて考えること自体、生きている人間の傲慢のようにさえ思います。

自殺のニュースを聞くと、いつも「死にたいやつは死なせておけ、俺はこれから朝飯だ」という言葉が頭に浮かびますが、そういう悲しみとやり切れなさのなかで、私たちはただ手を合わせて見送るしかないのです。
2011.05.13 Fri l 訃報・死 l top ▲