なんだか同じことばかり書いているようですが、やはり看過できないことが多すぎるのです。

テレビである経済アナリストが「まだ尾を引いている原発問題」と言ってましたが、こういう言い方は、あたかも「事態は収束に向かっているけど、まだ完全ではない」という意味にとれないこともないのです。しかし、本当に事態は収束に向かっているのでしょうか。ここにきて、マスコミが報道しない4号機が切迫しているという話も漏れ出ています。工程表も、どう考えても空手形だとしか思えません。でも、マスコミは相変わらず、政府や東電からリークされる断片的な情報を電力会社子飼いの御用学者に解説させて、あたかも収束に向かっているかのような幻想をふりまくばかりです。「一つになろう日本」なんて言ってますが、私には、「見ざる言わざる聞かざるで一つになろう日本」と言っているようにしか聞こえません。

東電の清水社長は先日、国会で、政府が第二次補正予算案を8月以降の臨時国会に提出予定にしていることに対して、早期の成立を要望し、予算案が成立しないと資金繰りがひっ迫して被災者への補償(仮払金の支払い)に支障が出る可能性があると、開き直りとも脅しともとれる発言をしましたが、こういう東電の強気な姿勢をみるにつけ、東電はなんにも変わってないと思わざるをえません。

枝野官房長官は、清水社長の発言について、「東電の置かれている社会的状況をあまり理解されていない」と批判、資産の売却とともに、企業年金や退職金の削減や減額など徹底したリストラを促したそうですが、しかしその一方で、清水社長の発言を受けて(?)、さっそく自民党や公明党、そして、民主党の一部議員などによって、第二次補正予算案早期成立の大合唱がはじまったのでした。「被災者支援」を錦の御旗にして、再びいびつな政治も蠢きはじめているようです。

原発に批判的な科学者や政治家に対して、尾行や恐喝や嫌がらせなどが日常的に行われていたことはよく知られている事実です。自民党の河野太郎衆院議員に対してさえ、尾行や監視が行われていたと本人が証言しているくらいです。「原子力資料情報室」の故高木仁三郎氏は、講演に行くたびに尾行され、散歩の途中に車にひかれそうになったことも一度や二度ではないそうです(『週刊現代』5/21号の記事より)。私は、そういった側面も含めて今回の事故を見なければ、問題の本質はわからないのだと思います。東電OL殺人事件の際も、被害者は政治献金がらみで「消されたのではないか」というトンデモ話さえあったほどです。国策を担う電力会社がこのようにアンタッチャブルな存在であるというのは、当時から一部の関係者の間では認識されていました。

もうひとつ私がこだわりたいのは、原発の広告塔になった学者や文化人や芸能人たちの存在です。なんら釈明もなく今ものうのうとテレビに出ているのは、やはり釈然としないものがあります。特に、それなりの”学識”をもっている(はずの)学者や文化人たちは、確信犯だと言われても仕方ないでしょう。茂木健一郎・養老孟司・荻野アンナ・大林宣彦らは、きちんと説明する責任があると言いたいです。

何度も同じことをくり返しますが、このようにゾンビはまだ生きているのです。なにも変わってない。
2011.05.18 Wed l 震災・原発事故 l top ▲