島田紳助引退のニュースは、「激震が走った」はオーバーにしても、「驚きをもって」列島をかけめぐったことは事実でしょう。

このニュースに関しては、やしきたかじんの「たい積したマグマが爆発する前の超措置法だ」というTwitter での発言が、もっとも核心を衝いていたように思います。

会見前から一部のマスコミの間では「紳助逮捕」がささやかれていたようですし、そもそも問題視された6年前の”親密メール”のネタ元が警察であるのは明白で、要は逮捕を免れるために引退というケジメをつけたというのは、充分納得できる見方だったと言えます。

勝谷誠彦の女性マネージャーに対する暴行事件では、吉本興業は一貫して紳助を擁護しました。そのため、被害者のマネージャーは、被害者でありながら意に反して退職に追い込まれたのです。しかし、今回、会社は紳助を見棄てるかたちで、さっさと先に逃げたのでした。その姿勢の違いが、お家騒動に決着をつけた昨年の上場廃止にあるのは間違いないでしょう。

紳助の引退について、橋下徹大阪府知事は、自分がいま府知事でいるのも「紳助さんのおかげです」と言ってました。また、東国原前宮崎県知事も知事選に出るとき、いちばん最初に相談したのは「紳助さんだった」と言ってました。タレント知事の誕生も、「紳助さんのおかげ」だったというわけです。

別に紳助に限った話ではないでしょうが、「ケツ持ち」なる言葉が未だに存在する芸能界というのは、今更ながらに「カタギにはできない」仕事なんだなと思います。ただ、それがタレント知事まで生みだしているとなれば、「芸能界は特殊だ」というだけでは済まされない問題もあるのではないでしょうか。

今、テレビは「残念」「お世話になった」「潔い」「紳助さんらしい」などといった芸能人たちのコメントであふれていますが、それも紳助の番組を残すためのテレビ局の弁解のように受取れないこともありません。たけしも同様ですが、竹中労風に言えば「分をわきまえず偉ぶる芸人」紳助をここまでピノキオにしたテレビ局の”罪”は大きいと言わねばなりません。

一方で、どこのチャンネルをひねっても出てくるのは同じ顔ぶれの芸人ばかりというような今の状況にいい加減辟易しているのも事実ですので、これをきっかけにテレビ界を席巻している”お笑いブーム”が急速にしぼんでいくことも考えられます。もともと今の”お笑いブーム”は、”韓流ブーム”と同じで、コストカットというテレビ局の台所事情によって作られたブームにすぎないわけですから、状況次第で(”お笑いブーム”を牛耳る吉本との関係次第で)用済みにされる可能性はあるのです。そう考えれば、ひな壇芸人たちに「激震が走った」のは事実かもしれません。
2011.08.25 Thu l 芸能・スポーツ l top ▲