今日の新聞に「単身女性、3人に1人が貧困 母子世帯は57%」という見出しで、つぎのような記事がありました。

 勤労世代(20~64歳)の単身で暮らす女性の3人に1人が「貧困」であることが、国立社会保障・人口問題研究所の分析でわかった。2030年には生涯未婚で過ごす女性が5人に1人になると見込まれ、貧困女性の増加に対応した安全網の整備が急がれる。

 07年の国民生活基礎調査を基に、同研究所社会保障応用分析研究部の阿部彩部長が相対的貧困率を分析した。一人暮らしの女性世帯の貧困率は、勤労世代で32%、65歳以上では52%と過半数に及んだ。また、19歳以下の子どもがいる母子世帯では57%で、女性が家計を支える世帯に貧困が集中している。

 貧困者全体の57%が女性で、95年の集計より男女格差が広がっていた。非正規雇用などの不安定な働き方が増え、高齢化が進むなか、貧困が女性に偏る現象が確認された形だ。
(asahicom(朝日新聞) 2011年12月9日3時14分配信)

 
厚生労働省の労働力調査(2011年1~3月期)によれば、非正規雇用の74.5%は女性だそうですが、単身女性や母子家庭の母親たちにとって、貧困は現実な問題としてすぐそばにあるのです。私の身近にも似たような境遇の女性がいますが、そのために彼女たちの生き方が非常に卑屈になったり制限されたりして「生き生きとした人生」を選択できなくなるのです。意に反して男性に頼らざるをえないような生き方をして、みずから墓穴を掘ってしまう女性も多いのです。格差社会のなかで、女性にとって「自立」は益々遠くなっていくばかりなのです。

一方で、今日、国家公務員に冬のボーナス(期末・勤勉手当)が支給されたという記事がありました。それによれば、管理職を除く一般行政職(平均年齢35.8歳)の平均支給額は約61万7100円で、前年同期に比べ約2万4200円(約4.1%)増えたのだそうです。この二つの記事を並べると、なんと対照的なんだろうと思ってしまいます。

たまたま今日、九州の友人からメールが来たのですが、彼が住んでいる市では市民の平均年収が184万円なのだそうです。全国的にも温泉で有名な観光地なのですが、生活の現実はそんなものなのです。

前も書きましたが、左が大労組中心の”労働組合主義”に、右が偏狭な民族排外主義にしばられ、時代状況を見失っているなかで、扇動的な公務員批判に代表されるように、民衆のルサンチマンを巧みにすくい上げることによって出てきたのが大阪の橋下現象だと言えます。既成の政治がしっかりしていれば、橋下現象なんて生まれなかったのです。

東日本大震災の復興財源に充てるために、臨時特例で2年間だけ国家公務員の給与を平均7.8%減らす国家公務員給与削減法案さえも連合の横やりでとん挫した一方で、まるでなにかにとり憑かれたかのように消費税の引き上げに執心する野田内閣をみていると、民主党政権というのは、自民党VS社会党の55年体制の悪いものばかりを取り込んだ、最悪の政権ではないかとさえ思えてきます。

こんななかで「貧困」という言葉に象徴されるような格差は、益々広がっていくばかりなのです。そして、本当にめぐまれない人たち、社会的にハンディを背負いながら懸命に生きている人たちは、置き去りにされるだけなのです。
2011.12.09 Fri l 社会・メディア l top ▲