何気に鏡をみていたら、左の頬に黒い汚れがあるのに気づきました。墨でもついたのかと思って、洗面所で石鹸をつけてゴシゴシ洗いました。しかし、落ちません。拡大鏡をもってきてよくみたら、どうやらシミのようです。

老人斑? そう思ったら、途端に気が滅入ってきました。

以前、知り合いの女の子(といっても、三十路に入ったばかりの大人の女性ですが)が大きなマスクをしてやってきたことがありました。

「エッ、風邪?」
「そうじゃないけど」
「花粉症?」
「そうじゃない」
「じゃあ、どうしたの?」
「別に・・・」

よくみると、マスクの下に絆創膏を貼っているようです。

「怪我したの?」
「そうじゃない」

なんだかイライラしはじめている感じです。

「わたし、前から思っていたんだけど、男のくせに細かいことに関心をもちすぎるんじゃない」

あきらかにイライラが嵩じて不機嫌になりはじめたようなので、それ以上は詮索しませんでした。

後日、同じ会社の女の子に訊いたところ、「私が言ったことは内緒よ」とクギをさされてこっそり教えてくれたのですが、その日、彼女は美容外科でシミ取りのレーザー手術(?)を受けた帰りだったそうです。

鏡のなかの老人斑をまじまじとみていたら、ふと彼女のことを思い出しました。そのときは「シミ取りだなんて女も大変だな」なんて思ったものですが、今になれば彼女の気持がよくわかります。男だってシミは気になるものです。

でも、30代に入ったばかりならまだしも、この年齢になっていちいちシミ取りをしていたら、それこそもぐら叩きみたいできりがないでしょう。そう思ったら、なんだかつぎは死斑があらわれてもおかしくないような気持になりました。
2012.01.17 Tue l 日常・その他 l top ▲