
覚醒剤の購入を煽る書き込みを削除せず放置したとして、麻薬特例法の幇助(煽り・唆し)の容疑で、警視庁が2ちゃんねるの関係先を家宅捜索していたというニュースがありました。さらに警察の捜査は、2ちゃんねるだけにとどまらず、性犯罪や薬物犯罪の温床になっているSNS全体に広がっていくのではないかという見方もあるようです。
2ちゃんねるの実態を考えるとき、警察の介入は当然予想されたことです。むしろ遅きに失した感さえあります。権力によるネット規制だと言う人もいるでしょうが、私は、ネットが自由ではないということを再認識する上でも、今回の強制捜査はむしろ「よかった」のではないかと思っています。
ネット規制を憂慮する声のなかには、まるでネットは自由であって、その自由を守らなければならない、あるいはネットは自由であるべきだ、というような考えがあるように思います。しかし、グーグルの新しいプライバシーポリシーをみてもわかるとおり、そもそもネットは自由なんかではないのです。覗き見しようと思えばいつでも簡単に覗き見ることができるし、規制しようと思えばいつでも簡単に規制できるのです。ネットというのはそういうシステムなのです。
私たちにとって、ネットというのは、あくまで制限付きのメディアにすぎないのです。そういうツール・手段にすぎないのです。「なんでもあり」なんて本来ありえない。2ちゃんねるの住人たちは論外にしても、権力のネット規制を憂う人たちに私が違和感を抱くのは、あたかもネットが自由である(自由であるべき)かのような幻想を振りまいているからです。私たちが考えなければならないのは、むしろそれから先のことではないでしょうか。つまり、自由ではないけど便利なネットをどう利用するか、そういうしたたかでしなやかなリテラシーをどう身につけていくかでしょう。