オウムの手配犯、菊地直子の逮捕を受けて、彼女の両親がつぎのような心情をつづった文章を公表しました。

 娘、直子が多くの皆様に大変なご迷惑をおかけしました。長く逃げていて社会に不安を与えました。親として、被害者・遺族の方々に、深く深くおわび申し上げます。私どもなりに、直子をオウム真理教と引き離そうとしてきましたが果たせず、1990年の出家後は全く連絡が取れず、このようなこととなってしまい、親としての力の無さに愕然(がくぜん)とするばかりです。

 娘直子へ。あの時、直子の気持ちを分かってやれず、ごめんなさい。あの時は、何をどうしたら良いか分からなかった。直子、生きていてくれて、本当にありがとう。ぐっすりと眠って、疲れを取って下さい。

 今日、高橋克也も逮捕されたと聞きました。

 直子、オウム真理教は理想郷を作れず、作りませんでした。もう分かっていると思います。オウム真理教はとてもひどいことをしました。直子、ご遺族や友人はもう殺された人に会えないんです。被害者は生きていたかったんです。直子はそのオウム真理教の一員だったんです。どうか、事実を直視していってください。

 直子、あなたに会いたい気持ちで一杯です。皆さまには申し訳ないことですが、娘に会いたい気持ちであることをどうかお許しください。

 ここに改めて皆様に深くおわびし、また直子に伝えます。

 2012年6月15日


カルトに走り犯罪に手を染めた娘をいつまでも思う親心が出ていて、とてもつらくせつない文章です。「こんないい親がいるのにどうして?」と思いますが、入信したのが高校生のときで、大学に進学してすぐに出家したのですから、親のありがたさに思い至らなかったのも無理はないのかもしれません。それにしても、若気の至りというには、あまりにも浅慮で取り返しのつかないことをしたものだと思います。同じ一生を棒に振るにしても振りようがあるだろうと思います。

逃亡中の”純愛”も、ここに来てちょっと違った話が出てきました。

高橋克也は供述のなかで、菊地直子の同居人に、オウムの手配犯であることをネタに300万円だかを脅し取られたと言っているそうです。そもそも手配写真と似ても似つかない現在の彼女が、どうして菊地直子とわかったのか。警視庁に情報提供したのは、一体誰なのか。ホントにただの市民だったのか。逮捕のあと、そういった疑問があがっていました。

週刊誌によれば、通報したのはどうやら同居人の身内だったようです。しかも、その身内もお金に困っていたらしく、菊地にお金をたかっていたと言われています。また、菊地と高橋は、それぞれ1千万円近くの現金をもっていたことがわかっていますが、奇妙なことにふたりとも留守中に空き巣被害に遭って、多額の現金を盗まれているのです。

同居人は、菊地逮捕の際、別れた元妻や子供たちと久しぶりに会っていたそうですが、それも身内が1千万円の懸賞金目当てに通報するのを知っていて、出頭前に「最後の別れ」をしたのではないかと言われています。いづれにしても、菊地直子がオウムの手配犯であることを同居人は身内に打ち明けていたのです。

それでも彼女は、逃亡をつづけたのは「彼を失いたくなかったから」だと言っているそうです。もしかしたら、手配犯だという弱みに付け込まれ、いいように利用されていたかもしれないのにです。なんと一途で純情で、そして世間知らずなんだろうと思います。

そう考えれば考えるほどかなしいものがあります。まして両親にしてみれば尚更でしょう。
2012.06.21 Thu l 社会・メディア l top ▲