
連休の中日。しがない自営業の身には連休なんて関係ないのですが、それでも連休に浮かれる世間様がうらやましくてなりません。それでふと思いついて、お上りさん気分で、東京スカイツリーに行ってみました。
渋谷から銀座線で浅草まで行って、浅草からスカイツリーラインに乗ると、ひと駅で「とうきょうスカイツリー」駅に着きます。ちなみに、このスカイツリーラインというのは、以前は東武伊勢崎線と呼ばれていました。というか、今でも東武伊勢崎線には違いないのですが、一部区間のみスカイツリーラインと改称されたそうです。また、「とうきょうスカイツリー」駅も、スカイツリーができるまでは「業平橋」駅だったのです。このように都心から離れた”辺境の地”にスカイツリーを造らざるをえなかったために、いろんなところにイメージアップのための苦心がうかがえます。
墨田区に住んでいる知人は、「スカイツリーのある押上(業平橋)なんてなにもないところだぜぇ」とワイルドな口調で言ってましたが、たしかに「なんにもないところ」でした。東京スカイツリーの「東京」は、かつて荒川区にあった「東京スタジアム」の「東京」と同じで、同じ「東京」でも場末感は否めないのです。
もっとも、そんな「なんにもないところ」が街の魅力だったりするのです。だから「住みやすい」ということはあるはずです。スカイツリーは、そんな「なんにもない」街のつつましやかな日常や記憶の積層を蹂躙してやってきたのでした。
東京タワーは、モスラが東京タワーを壊す映画の場面に象徴されるように、いわば高度成長に突き進む日本のシンボルでした。でも、今の日本には、そんな先進国に追いつけ追い越せというキャッチアップの力強さも希望に満ちた明るい未来もありません。東京タワーと違ってもはやシンボルにもなりえないスカイツリーの威容に、私は、悲哀すら覚えました。
スカイツリーには東武と京成の駅がありますが、いづれも改札口がスカイツリーや付属の商業施設の東京ソラマチと直結していますので、これでは大半の観光客はただ行って帰るだけで、周辺の商店街に人が流れることはあまり期待できないように思います。
東京ソラマチ(「エキナカ」や「エキュート」などと同じように、いかにも官僚的な鉄道会社らしい安易なネーミングですが)も新鮮味の乏しい商業施設でした。観光地の施設というより、むしろ街中でよく目にする駅ビルという感じです。ディベロッパーが変わっても、中身はどこも似たかよったかで、この手の施設がもう完全に手詰まりになっていることを痛感させられます。マツモトキヨシもあるし、魚力(魚屋)もあるし、二木の菓子もあるし、三省堂書店もあるし、プラザ(旧ソニープラザ)もあるし、ロフトもあるし、ZARAもあるし、ユナイテッドアローズもあるし、もちろんユニクロもあるのです。それどころか、東武百貨店だってある。どこにもあるものがあるだけです。これじゃJRがやってることと同じで、街を殺すだけでしょう。
帰りはついでに浅草を散策しました。浅草寺周辺は大変な人出でした。いつの間にか台数が増えた人力車の客引きがちょっとうざかったけど、東京スカイツリーを見たあとだとよけい人の温もりを感じてホッとしました。浅草は浅草で大変だという話も聞きますが、地元の人たちの努力もあって、まだかろうじて「街が生きている」という気がしました。
>> 浅草・ほうずき市



















