以前、私はこのブログで、中村うさぎが老いとどう向き合うか楽しみだと書きましたが、たまたま買った『週刊文春』(9月6日号)のコラム「さすらいの女王」で、彼女がそのあたりの心境を吐露していました。
余談ですが、倉田真由美も岩井志麻子もマツコデラックスも、テレビに出るようになって完全に世間に取り込まれ、ただのつまらないおばさんになってしまいましたが(あのわざとらしさはなんとかならないものかと思いますが)、そのなかで唯一中村うさぎだけがデカダンスの砦を守ってがんばっているように思います。
これは辛酸なめ子なども言えますが、テレビに出て世間に顔が知られメジャーになると、これほど牙をぬかれ変わるものなのかと思います。世間のふるいにかけられると、見事なほどホンモノとニセモノに分かれるのです。あとは賞味期限が切れればポイ捨てされ、昔の読者から冷たい目で見られるのがオチでしょう。
50代の半ばになった中村うさぎは、老残の恐怖をこう書いていました。
人生の黄昏を前にしたせつなくもかなしい気持に男も女もありません。カガミに映った自分の顔に愕然とするのは男も同じです。
同年代の友人は、「若い女の子から見ると、おれたちはもうただの路傍の石よ」と言ってましたが、それでも街中できれいな子を見ると、「おれも若ければなぁ~」と年甲斐もなく思ったりするものです。そして、おのれの”おっさんぶり”をいやというほど思い知らされるのでした。一方、女性は、中村うさぎも書いているように、どっちかと言えば、同性との比較対象でみずからを見るところがあるようです。それだけによけいきついのかもしれません。
もっとも厚労省が発表する”平均寿命”というのは、複雑な計算式で算出された「その年に生まれた人間の平均余命」で、必ずしも私たちの平均寿命(平均余命)を示しているわけではないそうです。だから、平均寿命が86歳で現在54歳なのであと30年余命があると考えるのは、あまり根拠のある話ではないのです。
それに仮に86歳まで生きたとしても、多くの場合認知症になったり介護を必要としたりするでしょうから、自立して生きる年数はもっと少ないと考えたほうが現実的でしょう。まだ54歳で人生の半分をすぎたばかりだと考えるのは、あまりにも楽観的すぎる気がします。それに、彼女のように不摂生な生活していれば、思ったより早く病魔におそわれ寝たきりになる可能性も高いかもしれません。自分で考えるほど人生は長くはないし、いつまでも浮世の欲望に苦しむことはないのです。
もう少しです。今後の中村うさぎに期待しましょう。
>> 『愛という病』
余談ですが、倉田真由美も岩井志麻子もマツコデラックスも、テレビに出るようになって完全に世間に取り込まれ、ただのつまらないおばさんになってしまいましたが(あのわざとらしさはなんとかならないものかと思いますが)、そのなかで唯一中村うさぎだけがデカダンスの砦を守ってがんばっているように思います。
これは辛酸なめ子なども言えますが、テレビに出て世間に顔が知られメジャーになると、これほど牙をぬかれ変わるものなのかと思います。世間のふるいにかけられると、見事なほどホンモノとニセモノに分かれるのです。あとは賞味期限が切れればポイ捨てされ、昔の読者から冷たい目で見られるのがオチでしょう。
50代の半ばになった中村うさぎは、老残の恐怖をこう書いていました。
(略)いくら美容整形でも限界ってものがあって、さすが五十四歳にもなると顔の皮を引っ張ろうが注射でシワを消そうが、二十代には対抗できない。
ライバルはせいぜい四十代。あと十年経てば、ライバルは五十代になるんだろう。でも、六十代と五十代が張り合って、なんか意味があるの?
(中略)
だが、人間の寿命が飛躍的に伸びた現代、五十代なんてまだまだ人生の半ばを過ぎたばかりなのである。
もうとっくに閉経したっていうのに、日本人の平均寿命(約八十六歳)からすると、女王様はあと三十年以上も生きていかねばならないのだ。セックスも恋愛も遠ざかり、体力も知力も衰えていく一方なのに。あと三十年も何をして過ごせばいいの? ああ、長生きするのが怖い~っ!
(「さすらいの女王 698」・長生きするのが怖い~っ!)
人生の黄昏を前にしたせつなくもかなしい気持に男も女もありません。カガミに映った自分の顔に愕然とするのは男も同じです。
同年代の友人は、「若い女の子から見ると、おれたちはもうただの路傍の石よ」と言ってましたが、それでも街中できれいな子を見ると、「おれも若ければなぁ~」と年甲斐もなく思ったりするものです。そして、おのれの”おっさんぶり”をいやというほど思い知らされるのでした。一方、女性は、中村うさぎも書いているように、どっちかと言えば、同性との比較対象でみずからを見るところがあるようです。それだけによけいきついのかもしれません。
もっとも厚労省が発表する”平均寿命”というのは、複雑な計算式で算出された「その年に生まれた人間の平均余命」で、必ずしも私たちの平均寿命(平均余命)を示しているわけではないそうです。だから、平均寿命が86歳で現在54歳なのであと30年余命があると考えるのは、あまり根拠のある話ではないのです。
それに仮に86歳まで生きたとしても、多くの場合認知症になったり介護を必要としたりするでしょうから、自立して生きる年数はもっと少ないと考えたほうが現実的でしょう。まだ54歳で人生の半分をすぎたばかりだと考えるのは、あまりにも楽観的すぎる気がします。それに、彼女のように不摂生な生活していれば、思ったより早く病魔におそわれ寝たきりになる可能性も高いかもしれません。自分で考えるほど人生は長くはないし、いつまでも浮世の欲望に苦しむことはないのです。
もう少しです。今後の中村うさぎに期待しましょう。
>> 『愛という病』