2012-09-13 01

池袋に行ったついでに、ふと前に住んでいた街へ行ってみようと思い、東武東上線の電車に乗りました。

途中、川越駅で下車しました。川越駅のホームにある立ち食いそば屋で久しぶりにそばを食べたくなったからです。私はここのかき揚げそばが好きでした。ところが、よく見ると、店の造りが変わっています。店名も違っている。もしやと思って入ってみると、案の定、別の店に変わっていました。

以前はおばさんたちがきりもりしていましたが、新しい店は、頭にタオルを巻いた若い男性がふたりできりもりしています。おばさんたちは、仕事をしながらいつも人の悪口ばかり言っていました。しかし、新しい店のふたりは人の悪口なんてとんでもない、いっさい無駄口を叩かずテキパキと手際よく仕事をこなしています。お客さんが帰るときは、「ありがとうございました!」「行ってらっしゃいませ!」と挨拶もぬかりがありません。前のおばさんたちとは雲泥の差です。

しかし、現実は不条理です。私は、悪口三昧のおばさんたちが作るそばのほうが好きです。どうして店が変わったんだろうと思いました。私は、がっかりして再び電車に乗り、前に住んでいた街に向かいました。

川越周辺はどこもそうですが、前に住んでいた街もご多分にもれず地元のスーパーYの牙城です。それはますます拍車がかかり、街の最寄駅には東西ふたつの改札口があるのですが、なんとその両方に店舗を構えているのでした。

東口には改札口から歩道橋でむすばれたショッピングモール(複合商業施設)がありますが、そこもYの経営です。さらにショッピングモールから100メートル先にも店舗がありました。ショッピングモールができたら当然、その店舗は閉鎖するものと思っていました。ところが、そのまま閉鎖せずにつづけたのです。また、別の方角に行けば200メートル先にも店舗があります。つまり、駅周辺の200~300メートル四方のなかに同じ店舗が三つもありました。

そして、10年近く前に新しく西口ができました。すると今度は西口の駅前にも店舗を構えたのでした。ただ、さすがに店舗が密着しすぎていると思ったのか、東口の100メートル先の店舗は閉鎖されていました。といっても、むざむざと撤退するはずもなく、系列のドラッグストアに変わっていました。はす向かいにマツキヨがあるのですが、今度はマツキヨを追い出す作戦なのかと思いました。

マーケティング用語に「ドミナント戦略」というのがありますが、これもYなりの「ドミナント戦略」なのかもしれません。要するに、閉鎖したあとに競合店が進出してくるのは恐れているからでしょう。それにしても、病的なほど他店の進出を恐れている感じがしないでもありません。

私は、「恐れ入りました」といった感じで、思い出深い街をあとにしたのでした。

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