不本意ながら、また床屋政談です。

東京都議会議員選挙は、戦前の予想どおり自民圧勝で終わりました。おそらく来月の参院選も同じ結果になるのは間違いないでしょう。

テレビ東京と日本経済新聞が週末に行った最新の世論調査で、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、66%だったそうです。一方で、「安倍内閣の経済政策で景気の回復を実感しているとの回答は17%にとどまり、アベノミクスの効果の見通しについては、43%が『「効果は続かない』と回答」しているそうです。

アベノミクスにはあまり期待してないけど、安倍内閣を支持する。この一見矛盾した評価は、一体なにを意味しているのでしょうか。

別の世論調査では、改憲についても国民の意見は分かれていて、賛成と反対がほぼ半々です。アベノミクスはあまり期待してない、憲法改正も賛否は半々だ。しかし、安倍内閣の支持率は高く、実際に選挙でも自民党は圧勝しています。そして、結果的に、TPP参加にも、10年間で200兆円という公共事業の復活にも、消費税増税にも、憲法改正にも、お墨付きを与えているのです。

マスコミは、橋下徹氏を持ち上げて維新のブームを作りましたが、橋下氏自身の「従軍慰安婦発言」でブームは終わりました。しかし、同じ手法による安倍内閣ブーム(正確に言えば、アベノミクスブーム)は依然つづいます。6年前の第一次安倍政権では、安倍首相はただのアホなボンボンのようなイメージがありました。それもマスコミが作ったイメージでした。そして、今度は180度正反対のイメージがふりまかれているのです。

日本経済新聞とテレビ東京は、今やアベノミクスの広報紙と化していますが、例のバブルのとき、日経は無定見にバブルを煽り、社員がインサイダー取引に関与したとして逮捕され、のちに大きな批判を浴びました。しかし、懲りないとはこのことで、今もまた同じことをくり返しているのです。

もっとも、これは日経に限った話ではありません。ほかの新聞やテレビも同じようにアベノミクスブームに便乗して、守銭奴たちを煽っているのです。マスコミでは、もはや安倍内閣の批判はタブーのような空気だそうですが、これでは新聞やテレビだけを情報源とする人々にとって、自民圧勝は自然の流れのような気がします。

一方、野党のていたらくは言わずもがなです。自民党の幹部は、圧勝は野党のおかげだと高笑いしていたそうですが、たしかに今や野党は自民党の引き立て役のために存在しているかのようです。そもそも野党と言っても、多くは自民党の亜流のような保守政党ばかりなのですから、選択の余地はきわめて狭く、最初から自民圧勝のレールが敷かれていたようなものです。

今日、このブログでは「サンクコストの呪縛」というキーワードでのアクセスが多かったのですが、私はそれを見て、なるほどなと思いました。

民主党の現状は、まさに「サンクコストの呪縛」に囚われていると言えるのかもしれません。選挙中、ノブタやフランケンやイラ菅やアメリカのポチがまたぞろ這い出し演説しているのを見たとき、一瞬我が目を疑いました。民主党内では、彼らは未だに「民主党の顔」なのでしょうか。だとしたら、その感覚は常人のものとは思えません。

「自民党は消費税増税のいいとこ取りをしている」なんてよく言えたもんだと思います。消費税増税を自民党にプレゼントしたのはどこの誰なのか。自分たちが有権者からどう見られているか、まるでわかってないようです。どう考えても、民主党は解党するしかないと思いますが、解党すらできないのでしょう。それが「サンクコストの呪縛」たるゆえんでしょう。

また、議席が倍増し「唯一の野党」としての存在感を示したと言われる共産党にしても、記者会見で満面の笑みを浮かべている志位和夫委員長と市田忠義書記局長の写真が新聞に出ていましたが、自民圧勝を考えれば笑っている場合じゃないのです。むしろ状況は、(共産党の口真似をすれば)「暗黒の時代」にさらに近づいていると言えるのです。こういったところにも、自分さえよければいいという共産党の独善的な姿勢が表れているように思いました。

そして、挙句の果てが、投票率がどうだ、得票率(数)がどうだ、勝ったと言っても消去法で支持されたにすぎないという、おなじみのおためごかしと負け惜しみの”分析”です。いわゆる左派(かつての革新)は、この何十年、選挙のたびにこの手の”分析”をくり返し現実を糊塗してきたのでした。これも”常套句”のひとつと言ってもいいでしょう。

これじゃ自民党の高笑いが止まらないのも当然でしょう。

>> サンクコストの呪縛
2013.06.24 Mon l 社会・メディア l top ▲