昨日は全国200地点以上で35度以上の猛暑日だったそうですが、今日はさらに気温が上がり、局地的には40度前後まで上がる恐れがあるというニュースがありました。
こんな日はエアコンが効いた部屋ですごすのがいちばんですが、それでも腹は減ります。冷蔵庫のなかを見たら、見事なほどなにも入っていません。それで意を決して近所のスーパーに買い物に行きました。
表に出ると火に焙られたような熱い空気が全身を襲ってきます。そして、いっせいに汗が噴き出してきました。
滝のように流れる汗をタオルで拭きながらスーパーにやってくると、駐車場の入口で警備員の方が出入りする車を誘導していました。それはいつもの光景ですが、しかし、今日は特にその姿が目にとまりました。
どこでもそうですが、警備員をしているのは、定年後に再就職したような年齢の人たちばかりです。それは、若い人たちの応募が少ないからという理由だけではなく、警備会社が「高年齢者雇用安定助成金」目当てで高齢者を積極的に雇用しているからだという話を聞いたことがありますが、満更ウソではないのでしょう。
警備員の方たちは、この猛暑のなかでも制服制帽です。茹でタコのように真っ赤な顔をして、首に巻いたタオルでしょっちゅう汗を拭いながら、ひっきりなしに出入りする車を誘導していました。
見るからに大変そうです。失礼な話ですが、どうしてこんな仕事をしているんだろうと思いました。もっとほかに「楽な」仕事はないのだろうかと思いました。でも、その年齢では「楽な」仕事はないのでしょう。
帰って警備会社のサイトで調べたら、「時給950円」でした。ひと月フルで働いても16万円ちょっとだそうです。三宅洋平のことばを借りれば「心がすさぶ」金額です。これじゃ振り込め詐欺で楽してお金を稼ごうという、クソガキたちの気持がわからないでもありません。
一方で、テレビをつければ、きれいな”おべべ”を着たキャスターたちが、「アベノミクスは投資のチャンスだ」などと、さも安倍政権であぶく銭が稼せげるチャンスが訪れたかのような幻想を煽っています。テレビの画面のなかで実感も伴わないようなお金の話をしているキャスターたちと、熱中症の恐怖と闘いながら「時給950円」の仕事に汗を流している高齢者の警備員たちは、まるで別世界の住人のようです。
「富の再分配」なんてことばもただただむなしく響くだけです。それどころか、精神科医の和田春樹氏が『テレビの金持ち目線‐「生活保護」を叩いて得するのは誰か』(ベスト新書)で書いているように、テレビ画面のなかのきれいな”おべべ”を着たキャスターたちは、アベノミクス礼賛の前はしたり顔で生活保護をバッシングしていたのでした。そうやって自公政権による生活保護法改正(前国会でいったん廃案)への世論作りに大きな役割を果たしたのでした。
彼らのバッシングは、BPO(放送倫理・番組向上機構)に審議要請した水島宏明氏(法政大教授・元日テレ社員)らが指摘するように、どれもデタラメなデータに基づいたものばかりでした。でも、彼らの話を聞いた視聴者は、「怠け者の特権」「正直者がバカをみる」「モラルもくそもない」と思い込み、魔女狩りのような”ナマポバッシング”に動員されたのです。それは今もつづいています。
「金持ち目線」でバッシングの旗をふっていた長野智子・三雲孝江・安住紳一郎・寺崎貴司・木下容子・川村晃司・大浜平太郎のようなキャスターたちにとって、和田氏のつぎのような指摘はまったく実感も伴わない異世界の話かもしれません。しかし、私たちには身近で切実な問題なのです。
どうしてこんな殺伐とした世の中になったのかと思います。吐き気を覚えるのは暑さのせいばかりではないでしょう。
>> 河本準一の「問題」と荒んだ世相
>> ワーキングプア
こんな日はエアコンが効いた部屋ですごすのがいちばんですが、それでも腹は減ります。冷蔵庫のなかを見たら、見事なほどなにも入っていません。それで意を決して近所のスーパーに買い物に行きました。
表に出ると火に焙られたような熱い空気が全身を襲ってきます。そして、いっせいに汗が噴き出してきました。
滝のように流れる汗をタオルで拭きながらスーパーにやってくると、駐車場の入口で警備員の方が出入りする車を誘導していました。それはいつもの光景ですが、しかし、今日は特にその姿が目にとまりました。
どこでもそうですが、警備員をしているのは、定年後に再就職したような年齢の人たちばかりです。それは、若い人たちの応募が少ないからという理由だけではなく、警備会社が「高年齢者雇用安定助成金」目当てで高齢者を積極的に雇用しているからだという話を聞いたことがありますが、満更ウソではないのでしょう。
警備員の方たちは、この猛暑のなかでも制服制帽です。茹でタコのように真っ赤な顔をして、首に巻いたタオルでしょっちゅう汗を拭いながら、ひっきりなしに出入りする車を誘導していました。
見るからに大変そうです。失礼な話ですが、どうしてこんな仕事をしているんだろうと思いました。もっとほかに「楽な」仕事はないのだろうかと思いました。でも、その年齢では「楽な」仕事はないのでしょう。
帰って警備会社のサイトで調べたら、「時給950円」でした。ひと月フルで働いても16万円ちょっとだそうです。三宅洋平のことばを借りれば「心がすさぶ」金額です。これじゃ振り込め詐欺で楽してお金を稼ごうという、クソガキたちの気持がわからないでもありません。
一方で、テレビをつければ、きれいな”おべべ”を着たキャスターたちが、「アベノミクスは投資のチャンスだ」などと、さも安倍政権であぶく銭が稼せげるチャンスが訪れたかのような幻想を煽っています。テレビの画面のなかで実感も伴わないようなお金の話をしているキャスターたちと、熱中症の恐怖と闘いながら「時給950円」の仕事に汗を流している高齢者の警備員たちは、まるで別世界の住人のようです。
「富の再分配」なんてことばもただただむなしく響くだけです。それどころか、精神科医の和田春樹氏が『テレビの金持ち目線‐「生活保護」を叩いて得するのは誰か』(ベスト新書)で書いているように、テレビ画面のなかのきれいな”おべべ”を着たキャスターたちは、アベノミクス礼賛の前はしたり顔で生活保護をバッシングしていたのでした。そうやって自公政権による生活保護法改正(前国会でいったん廃案)への世論作りに大きな役割を果たしたのでした。
彼らのバッシングは、BPO(放送倫理・番組向上機構)に審議要請した水島宏明氏(法政大教授・元日テレ社員)らが指摘するように、どれもデタラメなデータに基づいたものばかりでした。でも、彼らの話を聞いた視聴者は、「怠け者の特権」「正直者がバカをみる」「モラルもくそもない」と思い込み、魔女狩りのような”ナマポバッシング”に動員されたのです。それは今もつづいています。
「金持ち目線」でバッシングの旗をふっていた長野智子・三雲孝江・安住紳一郎・寺崎貴司・木下容子・川村晃司・大浜平太郎のようなキャスターたちにとって、和田氏のつぎのような指摘はまったく実感も伴わない異世界の話かもしれません。しかし、私たちには身近で切実な問題なのです。
ふつうの会社員や主婦の方で、テレビの論調を鵜呑みにして、生活保護受給者を悪く言う人もいますが、これが信じられません。この人たちは、自分が親の面倒をみなければならなくなったとしたら、どうするのでしょうか。
仮に、年収500万円の家庭で、生活保護の助けなしで親を扶養するとしたら、ものすごくたいへんだと思います。手取り400万円以下で、家のローンや子どもの教育費もあるなかで、親に月々10数万円仕送りするのは相当つらいはずです。
生活保護とは違い、医療費もタダになりませんので、親が病気になったらさらに医療費や入院費がかかります。
たとえ、年収1000万円の家庭だとしても、簡単ではないでしょう。
どうしてこんな殺伐とした世の中になったのかと思います。吐き気を覚えるのは暑さのせいばかりではないでしょう。
>> 河本準一の「問題」と荒んだ世相
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