今日の昼間のことでした。外から帰ってきて、パソコンを立ち上げていたら、電話(固定)のベルがけたたましく鳴りました。電話は留守電のままだったのですが、留守電のアナウンスが流れてもしばらく無言で、そしてガチャリと切れました。

2~3分後、再びベルが鳴りました。その際、電話機のモニターで確認したら、045×××××××という横浜市内の電話番号が表示されていました。しかし、私の「電話帳」にない番号です。

すると、今度は5~6秒くらい無言のあと、意を決したような女性の声が流れてきたのです。

「×村×子です。お久しぶりです。お手紙ありがとうございました。私のことを忘れないでいてくれてうれしかったです。私も・・・ピー、ピー、ピー」
「メッセージを録音しました」
メッセージの時間切れです。

「また来るぞ」と私は思いました。案の定、2~3分後、三度目のベルが鳴ったのです。

「×村×子です。お手紙ありがとうございました。私のことを気にかけてくれてうれしかったです。私も会いたいと思っています。いろんなことがあり、お話ができれば・・・ピー、ピー、ピー」
「メッセージを録音しました」

今度かかってきたらどうしようかと思いました。今さら「間違い電話です」と言うのも忍びない気がしますし、「×村×子」さんに大恥をかかせることにもなります。だからと言って、留守電の盗み聞きをつづけるのも気が引ける。

でも、私の悩みも杞憂に終わりました。四度目の電話はかかって来なかったのです。ちょっと残念な気もしました。

「×村×子」さんは既に結婚しているのではないか。結婚生活もマンネリになっていたときに、突然、昔の恋人から「まだ君のことが忘れられない」という手紙が来た。どうしよう。もう昔とは違うのだ。今度会ったら「不倫」になるし。でも、でも、やっぱり会ってみたい。電話の前で私は、そんなことを想像しました。

しかし、あろうことか「×村××子」さんは、見も知らない相手に自分の「不倫」に揺れる気持を吐露していたのです。

やはり三度目の電話のとき、野暮を承知で「×村×子」さんに”真実”を伝えるべきだったのかもしれません。胸が張裂けそうなくらい大きくなっていくトキメキを抱えながら、返事を待っている「×村×子」さんのことを思うと、なんだか申し訳ないような気がして、後味の悪さだけが残りました。

後日談
待ちくたびれたのか、その後再び×村×子さんから電話がかかってきました。それで、野暮を承知で電話に出て、「×村さん、今まで何回も変なメッセージが入っていましたが、私はあなたが待っている×崎さんではありませんよ。間違いですよ」と言いました。すると、×村×子さんは、「エエッ!」と素っ頓狂な声を出し、「すいませんっ!」と言って電話をガチャリと切りました。
2013.08.22 Thu l 日常・その他 l top ▲