「首都圏連続不審死事件」の控訴審が昨日(17日)から東京高裁ではじまりましたが、それにあわせるかのように、朝日新聞につぎのような記事が出ていました。

参考:
木嶋佳苗被告から記者に手紙 拘置所生活支える「彼ら」
(朝日新聞デジタル 2013年10月17日)

朝日だけでなく、「週刊女性」にも木嶋佳苗被告の手紙(手記)が掲載されているみたいですが、それにしても、記者が紹介している手紙の文面を見るにつけ、あらため聡明で文章がうまいなと感心させられます。

たとえば、一審の裁判員裁判について、「お白州で裁きを受けている気持ちでした」なんていう表現に、私は、文才というか、彼女の文章を書くセンスを感じました。(以下、上記記事より引用)

「検察も弁護人もお殿様(裁判員)の機嫌を損ねないように擦り寄るしかないんです」
「正直に話して否認した私は、裁判員の印象が悪くなって全てが有罪として認定されていく」
「一般の人は情感に惑わされて悲惨な光景を被告人がしたこととして安直に繋(つな)げてしまう。家族が亡くなった喪失感や死体の醜さを私に責任転嫁されても困ります」


ネットで彼女に悪罵を浴びせているネット住人たちなんて、彼女にして見れば、「バカがほざいている」くらいにしか思えないでしょう。それは、裁判員裁判の裁判員たちに対しても同様なのです。彼女は、この手紙でも、裁判員裁判の茶番を鋭く衝いているのでした。

「死刑判決を出すからには、刑場の床板を開くボタンを押す重みを知るべきだと思うんです」
「死刑囚の処遇や執行の実際を知らない一般の人たちが否認事件の死刑判決を出す制度の在り方に私は疑問を感じます」


記事によれば、彼女を物心両面で支援する男性たちがいるそうですが、そんな男性たちも彼女の聡明さと文章のうまさに惹かれているのかもしれません。見かけは別にしても、少しでも気を許すと騙される、そんな魅力をもった女性であることは事実でしょう。

私は、くだらないセックス自慢の手記や小説などではなく、1審の判決直後に朝日新聞に掲載されたような、自分の内面や生き方を見つめた手記や小説を書いてもらいたいと思っていますが、それは無理な相談なのでしょうか。殺人は別にしても、詐欺や売春の経験は豊富なので、きっといいものが書けるはずです。

>> 木嶋佳苗 100日裁判傍聴記
>> ふしだらな女 木嶋佳苗
>> 木嶋佳苗被告と東電OLの影
2013.10.18 Fri l 社会・メディア l top ▲