今日の朝日新聞デジタルにつぎのような記事が出ていました。

 特定秘密保護法案をめぐり、世界各地の作家らでつくる国際ペンは20日、日本ペンクラブと共同記者会見を開き、「市民の表現の自由を弱体化させる」として反対する声明を発表した。国際ペンが日本の国内法案について、反対声明を出すのは戦後初めて。

 記者会見では、ジョン・ラルストン・サウル国際ペン会長の反対声明が読み上げられた。「国にとって差し迫って必要でも、公益を守るためのものでもない。政治家と官僚が、過剰な秘密保全の考えに隠れて、自らに権力を集中させようとしている」として、法案を批判した。
国際ペン、秘密保護法案に異例の反対声明


国際ペンがこれほど危機感を持ち、言論統制に道を開く“平成の治安維持法”に反対しているなかで、我が国を代表する文芸出版社の文藝春秋社と新潮社は、多くの人が指摘するように、我関せずのような姿勢に終始しています。それどころか、『週刊文春』や『週刊新潮』では、作家批判を巧妙に回避しながら、原発などと同様、反対する勢力を意地悪く揶揄する始末です。まるで言論・表現の自由なんてどうだっていいとでも言いたげです。それより中韓やみのもんたを叩くことのほうが大事なのか。

中村うさぎによれば、作家にとって新潮から本を出すことはステイタスだそうですが、そんな文春や新潮から本を出して、編集者とナアナアの関係にありながら、一方で原発や特定秘密保護法に対して批判的なポーズをとる作家センセイたちの“二枚舌”には、やはり「偽善」ということばしか思い浮かびません。もちろん、作家センセイが表立って文春や新潮の姿勢を批判することはないのです。別にリゴリスティックにものごとを考えるわけではありませんが、まず隗より始めよでしょう。

それは、今回の法案の国会上程に大きな役割を果した公明党と創価学会の関係も同じです。

今日の東京新聞には、「秘密保護法成立へ一直線 公明党の大罪」という記事が掲載されていました。東京新聞のTOKYO Webでは、記事の前文しか読むことができませんが(キオスクで買おうと思ったら、既に売り切れていた)、前文では「稀代の悪法」の成立に手を貸す公明党を、つぎのように辛辣に批判していました。

 罪深きは公明党だ。希代の悪法たる特定秘密保護法案の成立に一直線とあっては、「安倍政権のブレーキ役」が聞いてあきれる。国民に期待を持たせた分、自民党よりもたちが悪いかもしれない。支持母体の創価学会も、秘密法案とダブる戦前の治安維持法違反の罪で初代会長が投獄され、獄死した過去を忘れたのか。安倍タカ派路線の補完勢力に成り下がった公明党を指弾する。(荒井六貴、篠ケ瀬祐司)


創価学会の、特に青年部や婦人部が取組んでいた平和や人権の運動に対しては、学会の外からも高い評価の声がありますが、今回、公明党がやったことは、それらを踏みにじる“背信的行為”だと言っても過言ではないでしょう。創価学会の末端会員たちは、それをどう考えているのか。民主主義社会における基本的人権については、思想も信条も信仰も関係ないはずです。上が決めたことなら、なんでもオッケーなのか。

また、これはネットで知ったのですが、同じ東京新聞のコラム(「本音のコラム」)で、文芸評論家の斎藤美奈子氏が、「生殺与奪の権」と題して、特定秘密保護法案をめぐる動きを、氏一流の言い回しで批判していました。なんだか負け惜しみのように読めなくもないですが、今の状況を考えれば、負け惜しみでも言いたくなろうというものです。その気持は痛いほどわかるのです。

 たしかに与党は数の上では圧勝だ。でも武将の質を見てごらん。特別委員会で答弁に立つ森雅子担当相は国会審議だけの代役で、いわば臨時雇いのバイトだし、軍師のはずの菅義偉官房長官は他の業務(NSC法案)で忙しく、総大将の安倍晋三首相は審議の前線に姿も見せない。こんなだらけた軍勢に法案を通す資格があるだろうか。
 強行採決なんかしたら後が怖いぞ。議員各位も関ヶ原をよーく考えた方がいい。悪いけど生殺与奪の権はこっちにあるのだ。


2013.11.20 Wed l 社会・メディア l top ▲