ソチ五輪の出場権を争うフィギュアスケートの全日本選手権では、私も高須クリニックと同じように、安藤美姫を応援していましたので残念な結果になりましたが、でも短期間でよくあそこまで復活したものだと思います。マスコミに内緒で出産し、父親の公表を避けたというだけで、安藤美姫は『週刊文春』や『週刊新潮』からまるで非国民のように叩かれたのですが、だからこそよけいがんばってもらいたいと思っていました。

文春や新潮と関係ある作家やライターたちは、ヘイトスピーチ(民族排外主義)や特定秘密保護法に追従し、中韓との戦争を煽るような両社の姿勢について、社内は反対する意見が多いけど、売るために仕方なくやっているというような説明を受けているようですが、そんな子ども騙しのような話を真に受ける日本ペンクラブの作家やライターたちって、どんなおめでたい人種なんだと思わざるをえません。

石原慎太郎氏と文春の関係、あるいは1969年に『諸君』が創刊された際の社内事情を考えると、文春が手段として仕方なく特定秘密保護法に賛成しているとはとても思えません。社内は反対する意見が多かったけど仕方なかったというのは、戦争に協力した文春の戦後の弁解やナチスに協力したドイツのジャーナリストたちの弁解と同じです。それもまた戦争協力屋の常套句と言うべきでしょう。

しかし、それは文春や新潮だけではありません。

朝日新聞は、特定秘密保護法が国会で可決した日に、ゼネラルエディター兼東京本社編成局長の杉浦信之氏のつぎのような談話を掲載しました。

(前略)
私たちは、この法律が施行されたときに一般市民が罪に問われる可能性を、専門家の助言や過去の事例をもとに何回も報じてきた。こうした懸念を非現実的と批判する人たちがいる。しかし、治安維持法を含め、この種の法律は拡大解釈を常としてきた。

税金によって得られた政府の情報は本来、国民のものだ。それを秘密にすることは限定的でなくてはならない。わたしたちは、国民に国民のものである情報を掘り起こして伝え、国民の知る権利に奉仕することが報道の使命であることを改めて胸に刻みたい。

戦後の日本社会は、権力闘争も政策対立も、暴力ではなく言論で解決する道を選んだ。ときに暴力で言論を封殺しようという動きも、自由な言論を支持する国民がはねのけてきた。言論の基となる情報の多くを特定秘密という箱の中に入れてしまう法律は、70年に及ぶ戦後民主主義と本質的に相いれない。

私たちは今後も、この法律に反対し、国民の知る権利に応える取材と報道を続けていく。


その言やよしですが、しかし一方で、朝日新聞は、ホントに「国民の知る権利」に応えていると言えるのか、そう問いたい気持もあります。

福島第一原発の事故の際、ただちに健康に影響はないという政府の発表を無批判に垂れ流したのは誰か。海洋汚染の問題にもずっと目をつむっていたのは誰か。現在も進行中の農水産物の汚染の問題に対しても、「東北を応援しよう」という美辞麗句を並べるだけで、見て見ぬふりをしているのは誰か。

それは、原発問題だけに限りません。ヒットラーばりのやりたい放題の強権政治に走る安倍首相に対しても同様です。

朝日新聞などは、昭惠夫人が「嫌韓」の安倍首相とは逆に「親韓」派で、原発再稼動にも消費税増税にも反対していて、昭惠夫人は「家庭内野党」だとか二人は「仮面夫婦」だとか言ってますが、ホントにそうなのか。気が弱くて人一倍猜疑心が強いと言われる安倍首相のことですから、もしそれがホントなら決して看過するはずはありません。彼の国の三代目なら間違いなく銃殺刑でしょうが、日本の三代目だってなんらかの対処はするはずです。第一次安倍政権の失敗を教訓に、昭惠夫人はガス抜きの役目を担っているのではないか。だから、昭惠夫人もマスコミのインタビューに積極的に応えているのではないか。私にはそう思えてなりません。

先日、山岡俊介氏が主宰する「アクセスジャーナル」に、つぎのような記事が掲載されていました。これは、11月24日に、フリージャーナリストの寺澤有氏とおこなった「情報統制・国民監視時代の生き方」という「緊急対談」に関する記事の冒頭部分(無料部分)です。

(前略)
 本紙・山岡らは法律の専門家ではないし、法律の話をしても面白くないので、(1)この法案を通そうとしている安倍晋三首相がいかに矛盾に満ちた人間か、(2)法案が通ったら拡大解釈し恣意的に使う具体例として、安倍首相の最大のスキャンダルについて話した。
(1)については、安倍首相が特定秘密保護の対象にするもののなかには対韓国、北朝鮮との有事、テロ関連も含まれるが、安倍首相の最大の政治資金源が、父・安倍晋太郎外相(故人)時代から地元の在日系パチンコ、貿易、産廃などの会社であり、下関の自宅も事務所の(元)持ち主もそうであること、その見返りに日本への帰化に便宜を図るなどしており、安倍首相はそういう意味ではひじょうに“ねじれた”人だということを話した。
 本紙・山岡は90年以降、10回以上下関現地取材を行い、今年4月の参院山口補選(安倍首相の“国家老”だった元下関市長が当選)直前にも取材して来ている。
(2)については、安倍首相の下関の自宅放火事件の真相について取り上げた。
(アクセスジャーナル 2013年12月1日の記事より)


昭惠夫人の「親韓」も、安倍首相のこのようなダブルスタンダードな姿勢と関係があるのではないでしょうか。

山口の安倍家は、福岡の麻生家のようにこれといった実業をもってないので、いかがわしい虚業家たちと関係を持たざるをえなかったという声もあるくらいで、もしかしたらネトウヨたちが卒倒するような「愛国者」の顔をもっているのかもしれません。

でも、「国民の知る権利」を標榜するマスコミは、そういった側面からの報道はいっさいおこなっていません。あたかも安倍首相と昭惠夫人が同床異夢の仮面夫婦であるかのように報道するだけです。そして、案の定、そんな報道の影に隠れて、安倍首相はやりたい放題の強権政治に突き進んでいるのです。マスコミが言う「国民の知る権利」というのは、ただ単にガス抜きや目くらましの役割を果たしているだけではないのか。私は、「国民の知る権利」と聞くと、どうしても眉に唾したくなるのです。
2013.12.24 Tue l 社会・メディア l top ▲