糖質制限ダイエットですが、ダイエットをはじめて20日が経過しようとしています。体重は、既に6キロ減になりました。順調と言えば、順調ですが、しかし、それでもちょっと体重の減りがはやいような気がしないでもありません。
食事は、1日に2食。ご飯は1日におにぎり2個。あとは、野菜や魚や肉を食べています。こういった食事をすると、いきおい野菜を多く食べるようになりますし、ドカ食いもなくなります。糖質制限ダイエットにはそういった”副産物”もあるように思います。
ダイエットをして気付いたことがふたつあります。ひとつは、腰が痛くならなくなったことです。別に腰痛持ちだったわけではありませんが、ちょっとでも腰を曲げて物を持ち上げたりすると、すぐ腰が痛くなっていました。しかし、不思議なことにそれがなくなったのです。もうひとつは、『炭水化物が人類を滅ぼす』の夏井ドクターも書いていましたが、朝目覚めたときの胃のもたれや不快感がなくなりました。
ただ、糖質制限ダイエットにもデメリットがあります。これも夏井ドクターが書いていましたが、エンゲル係数が高くなることです。いわゆる「おかず」中心の食事にして、「おかず」で腹を満たそうとすると、どうしても食費がかさむのです。炭水化物中心の食事が、労働者の腹を満たし、過酷な労働を維持するために普及したというのは、そのとおりかもしれません。極端なことを言えば、大盛りのご飯にふりかけをかけて食べれば、いちばん経済的で、腹も満たされるのです。テレビでやっている大盛り特集とかB級グルメとかラーメンブームとかいったものは、「庶民的」と言えば聞こえはいいですが、はっきり言って、貧困ビジネスの側面もあるように思えてなりません。吉野家と松屋とすき家の牛丼の違いについて、あれこれ蘊蓄を傾けているような人たちはどういうクラスの人間が多いのかを考えれば、よくわかるのではないでしょうか。
とは言え、たしかに、牛丼はウマいのです。昔、知り合いの人間が、牛丼には麻薬が含まれているのではないかと思うくらい、無性に牛丼を食べたくなるときがある、と言ってましたが、それはあながち的外れではないのかもしれません。牛丼には糖質という「麻薬」が含まれているのですから。私たちの食生活は、糖質の「甘さ」に依存した生活であると言ってもいいでしょう。今の私も、「甘さ」の禁断症状におそわれていますが、ただ糖質ダイエットの場合、空腹感と戦うことがないので、その点は他のダイエットよりハードルは低いように思います。
糖質ダイエットの要点は、ただひとつ、「主食」をやめることです。ヨーロッパには「主食」ということばがないそうですが、従来の「ご飯が主食」という考え方をやめなければならないのです。
日本が「豊葦原瑞穂の国」であると言うのも、ただの神話にすぎません。この国には、稲作文化を担う定住民とは別に、サンカ(山窩)と呼ばれる非定住の山岳民族がいました。サンカ文学で有名な三角寛氏(池袋の文芸坐を作った人でもある)は、私の郷里の先輩なのですが、そう言えば、子どもの頃、近所にいっさい米を食べないという老人がいました。老人の一家は、みすぼらしい小屋に住んでいて、田舎にあって山や田畑を所有してないので、よその家の山仕事を手伝ったり、カゴなどを編んでそれを売ったりして生活していました。また、子どもの名前にも、サンカの掟を思わせるような漢字が使われていました。私は、のちにサンカのことを知ったとき、あの老人はサンカの末裔だったのではないかと思ったものです。
『古事記』に、「八雲立つ 出雲八重垣 妻隠(つまご)みに 八重垣作る その八重垣を」という歌がありますが、この歌ももともとはサンカの作ではないかと言われているそうです。それが、いつの間にか中央の支配権力に剽窃され、彼らの正統性を捏造する神話のなかに取り込まれていったと言われているのです。(八雲立つ 出雲八重垣 )
この国には、つい最近まで稲作文化とは別の、単一民族神話の埒外に、いわば「日本」という国にまつろわぬ人たちが住んでいたのです。1952年の住民登録法の施行まで、彼らのなかには住民登録もしていない者もいたそうです。従って、納税や徴兵などの国民の義務とも無縁だったのです。
ご飯を食べない、「主食」をぬくということには、このように稲作文化にとらわれない豊饒な歴史への想像力をかき立てるものさえあるのでした。
食事は、1日に2食。ご飯は1日におにぎり2個。あとは、野菜や魚や肉を食べています。こういった食事をすると、いきおい野菜を多く食べるようになりますし、ドカ食いもなくなります。糖質制限ダイエットにはそういった”副産物”もあるように思います。
ダイエットをして気付いたことがふたつあります。ひとつは、腰が痛くならなくなったことです。別に腰痛持ちだったわけではありませんが、ちょっとでも腰を曲げて物を持ち上げたりすると、すぐ腰が痛くなっていました。しかし、不思議なことにそれがなくなったのです。もうひとつは、『炭水化物が人類を滅ぼす』の夏井ドクターも書いていましたが、朝目覚めたときの胃のもたれや不快感がなくなりました。
ただ、糖質制限ダイエットにもデメリットがあります。これも夏井ドクターが書いていましたが、エンゲル係数が高くなることです。いわゆる「おかず」中心の食事にして、「おかず」で腹を満たそうとすると、どうしても食費がかさむのです。炭水化物中心の食事が、労働者の腹を満たし、過酷な労働を維持するために普及したというのは、そのとおりかもしれません。極端なことを言えば、大盛りのご飯にふりかけをかけて食べれば、いちばん経済的で、腹も満たされるのです。テレビでやっている大盛り特集とかB級グルメとかラーメンブームとかいったものは、「庶民的」と言えば聞こえはいいですが、はっきり言って、貧困ビジネスの側面もあるように思えてなりません。吉野家と松屋とすき家の牛丼の違いについて、あれこれ蘊蓄を傾けているような人たちはどういうクラスの人間が多いのかを考えれば、よくわかるのではないでしょうか。
とは言え、たしかに、牛丼はウマいのです。昔、知り合いの人間が、牛丼には麻薬が含まれているのではないかと思うくらい、無性に牛丼を食べたくなるときがある、と言ってましたが、それはあながち的外れではないのかもしれません。牛丼には糖質という「麻薬」が含まれているのですから。私たちの食生活は、糖質の「甘さ」に依存した生活であると言ってもいいでしょう。今の私も、「甘さ」の禁断症状におそわれていますが、ただ糖質ダイエットの場合、空腹感と戦うことがないので、その点は他のダイエットよりハードルは低いように思います。
糖質ダイエットの要点は、ただひとつ、「主食」をやめることです。ヨーロッパには「主食」ということばがないそうですが、従来の「ご飯が主食」という考え方をやめなければならないのです。
日本が「豊葦原瑞穂の国」であると言うのも、ただの神話にすぎません。この国には、稲作文化を担う定住民とは別に、サンカ(山窩)と呼ばれる非定住の山岳民族がいました。サンカ文学で有名な三角寛氏(池袋の文芸坐を作った人でもある)は、私の郷里の先輩なのですが、そう言えば、子どもの頃、近所にいっさい米を食べないという老人がいました。老人の一家は、みすぼらしい小屋に住んでいて、田舎にあって山や田畑を所有してないので、よその家の山仕事を手伝ったり、カゴなどを編んでそれを売ったりして生活していました。また、子どもの名前にも、サンカの掟を思わせるような漢字が使われていました。私は、のちにサンカのことを知ったとき、あの老人はサンカの末裔だったのではないかと思ったものです。
『古事記』に、「八雲立つ 出雲八重垣 妻隠(つまご)みに 八重垣作る その八重垣を」という歌がありますが、この歌ももともとはサンカの作ではないかと言われているそうです。それが、いつの間にか中央の支配権力に剽窃され、彼らの正統性を捏造する神話のなかに取り込まれていったと言われているのです。(八雲立つ 出雲八重垣 )
この国には、つい最近まで稲作文化とは別の、単一民族神話の埒外に、いわば「日本」という国にまつろわぬ人たちが住んでいたのです。1952年の住民登録法の施行まで、彼らのなかには住民登録もしていない者もいたそうです。従って、納税や徴兵などの国民の義務とも無縁だったのです。
ご飯を食べない、「主食」をぬくということには、このように稲作文化にとらわれない豊饒な歴史への想像力をかき立てるものさえあるのでした。