
ふと海を見たいと思い、夕方から大桟橋に行きました。こういった海辺の風景が身近にあるのが、なんと言っても横浜の魅力です。今日も「夏日」とかで暑い一日でしたが、埠頭に立つと海から吹く風が心地よく感じられました。
大桟橋の”くじらのせなか”でしばし海を眺めて時をすごしました。”くじらのせなか”のあちこちには、同じように飽くことなく海を眺めている人たちがいました。今日はなぜか若い女性のグループが目立ちました。
対岸に向かってカメラを構えていると、「すいません」という声が背後からするのです。うしろを振り返ると、若い女の子が立っていました。
「あのー、シャッターを押してくれませんか?」
見ると、若い女の子ばかりの4人連れです。
「いいですよ」
「じゃあ、これでお願いします」
そう言ってスマホを差し出すと、彼女たちはデッキの端に立ち、夕陽に向かっていっせいに両手を掲げ、そして両手を掲げたまま上半身を左のほうに傾けたのでした。いつもそうやって写真を撮っているのか、まるで申し合わせたかのように統制のとれたポーズでした。私は、彼女たちの背後からやや中腰の姿勢でシャッターのボタンを押しました。
聞けば、所沢から来た高校生のグループだそうです。「ありがとうございました!」とこれまた全員で統制のとれた挨拶をして、笑顔で去って行きました。
「若いっていいなぁ」
私は、その後ろ姿を見ながら、しみじみと思いました。もちろん、彼女たちにも苦悩はあるでしょう。でも、彼女たちには、その苦悩を背負うことのできる若さがあるのです。その若さが羨ましくてなりませんでした。
