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紙の爆弾』(鹿砦社)7月号の匿名座談会「2ちゃんねる『乗っ取り』騒動でわかった 洗脳メディア化する『まとめサイト』の実態」によれば、2ちゃんねるの「乗っ取り」騒動の背景には、まとめサイトの利権の奪い合いがあるのだそうです。

2ちゃんねる自体は、それほど価値はないものの、「2ちゃんねるから副次的に派生する『まとめサイト』が大金脈に育って」いて、既にまとめサイトの広告収入は、年間20億円になっているのだとか。そのため、大元の2ちゃんねるを押さえれば、金脈もコントロールできると目論んでいるらしいのです。

20億円は、Googleのアドセンスの報酬です。2012年からまとめサイトに対してアドセンスのサービスがはじまったのをきっかけに、「まとめサイトの価値が急上昇した」のだそうです。また、それに加えてスマホの普及が、まとめサイトのPVを飛躍的に増やす追い風になったのでした。

まとめサイトのアドセンスの場合、1日10万PVがボーダーラインで(1日10万PVで月収30万円だとか)、それを下回ると契約が打ち切られる(広告が表示されなくなる)そうです。そのため、管理人たちは、必死で、それこそ手段を選ばずPVの確保に走らなければなりません。そこで2ちゃんねるに自演の書き込みをしたり、スレッドの流れとは関係なく恣意的に書き込みをコピーしたりして、PVを稼げるような扇動的なサイトに仕上げていくのです。そして、まとめサイト同士がお互いに煽っていくことによって、世論を誘導していく。それが「いま起こっている嫌韓の構図」だと言います。

たしかに、アドセンス以前スマホ以前の2009年の政権交代のときも、2ちゃんねるやまとめサイトでは、民主党は「ミンス」などとヤユされ罵言のオンパレードでした。しかし、それは大きな世論にはなりませんでした。当時は既存のメディアのほうが強くで、ネットの影響力は限定的だったからです。それが今では様相を一変しています。もちろん、安倍政権が誕生して、憲法改正や集団的自衛権行使容認の世論作りのために、嫌中嫌韓の空気がふりまかれたという側面もありますが、今は逆に既存メディアがネット世論に迎合しているような傾向さえ見られるのです。その背景にあるのは、このような「愛国ビジネス」とも言うべきお金の論理なのです。

一方、ネットには別の見方もありました。2ちゃんねるの実質的な「経営者」であったひろゆき(西村博之)氏の関連会社は、ホットリンクという会社と2ちゃんねるのログ(書き込み)を売買する契約を結んでいて、さらにホットリンク社はログをいろんな顧客に転売していたのですが、それが騒動の背景になっているのではないかと言うのです。

たしかに、今回の騒動は、2ちゃんねるの関連会社のサーバーから有料会員のクレジットカード情報が流出したことが発端でした。その際、2ちゃんねるに書き込みをした人物がつぎつぎと特定されたことに不思議に思った人も多いのではないでしょうか。それは、ログとクレジットカードの個人情報が結び付けられていたからです。つまり、どんな人物がどんな書き込みをしているか、わかるようになっていたのです。ひろゆき氏らは、そうすることによって販売するログの商品価値を高めていたのです。

このように、2ちゃんねる騒動とは、火事場泥棒的に参入してきた「おーぷん2ちゃんねる」(ヤフー系)も含めて、ネットの守銭奴たちのお金をめぐる欲まみれの争いでしかないのです。

ところが、話はこれだけにとどまりませんでした。ログの個人情報が送信されていた先に、ひろゆき氏が役員をしていたドワンゴも含まれていたのですが、実はドワンゴには麻生太郎財務大臣(元総理大臣)の甥も役員に入っていて、さらに麻生大臣の長男が経営する会社がドワンゴの子会社になっていたことが判明したのでした。

九州の筑豊で誕生した麻生グループは、石炭採掘業から出発して、今やセメント製造・病院経営・人材派遣・不動産等で一大コンツェルンを築いていますが、メディア「支配」にも積極的で、既に福岡のRKB毎日放送の大株主であり、同社の経営に大きな影響力をもっていると言われています。また、最近は、キー局の「乗っ取り」も画策していて、TBSへ触手をのばしているという噂もありました。

ひろゆき氏や川上量生氏のようなネットの「創業経営者」というのは、お金のためなら悪魔にでも平気で魂を売るような守銭奴ばかりなので、政治権力にとって、ネットをコントロールすることなど赤子の手をひねるように容易いことなのかもしれません。お金を餌にすればいくらでもコントロールは可能で、それが「洗脳メディア」と言われるゆえんなのでしょう。
2014.06.13 Fri l ネット l top ▲