

『週刊ダイヤモンド』7/26号の特集に、衝撃的なタイトルが付けられていました。曰く、「相場を動かすアベ経済マフィア全人脈・全内幕」。さらに、表紙のイラストも、タイトルに優るとも劣らぬくらい衝撃的でした。
日本の株式市場は、「3A+1S」の大物政治家に左右されているのだそうです。3Aとは安倍晋三(総理大臣)・麻生太郎(副総理兼財務相)・甘利明(経済再生担当相)で、1Aとは菅義偉(官房長官)です。
この4人とそれに連なる40人のキーマン(ブレーン)によって、この国の経済政策がすすめられているのだとか。これを『週刊ダイヤモンド』は、「経済マフィア」と呼んでいるのでした。
「政権の生命線は株価」というのが、彼らの合言葉だそうです。それが安倍内閣が「株価連動内閣」とヤユされるゆえんなのです。たしかに、アベノミクスの成長戦略なるものも、すべては株価のためのようにしか思えません。
そして、「株価を意識するとなると、日本の場合は必然的に外国人対策が必須となる」のです。「なぜなら、日本の株式市場は売買シェアの6割超を外国人投資家に握られている」からです。日本の株式市場は、「もはや外国人の存在なしでは立ち行かない市場」なのです。たとえば、テレビ東京の経済ニュースのコメンテーターたちがいつも口にするのは、国民生活がどうあるかということではなく、「(政府の経済政策が)外国人投資家にどう評価されているか?」ということですが、それは安倍政権も同じで、彼らの眼中にあるのは、外国人投資家の動向と株価だけなのです。
すべては株価のため。安倍政権による外国人投資家向けの大判振る舞いは、さらにエスカレートするばかりで、あろうことか年金積立金にまで触手を延ばそうとしているのです。それが法人税減税と並ぶ新成長戦略の目玉と言われるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革です。改革の狙いは、現行12%に抑えられている日本株の運用を20%まで拡大できるようにすることです。GPIFが管理する積立金は126兆円、1%買い増しすれば1兆円が株式市場に流れる計算になるそうです。これが究極の株価対策と言われるゆえんです。
言うまでもなく、年金の積立金というのは、将来の年金給付に充てるもので、それを政権維持の株価対策のために賭場につぎ込むというのは、あまりにもリスクが大きく「掟破り」と言わざるをえません。
株価と連動した高い支持率を背景に、戦前型の富国強兵政治に回帰する安倍政権。グローバル資本主義(=アングロサクソンの強欲資本主義)に拝跪しながら、一方で国内向けにアナクロな国粋主義を押し付ける安倍政権。まさに「売国」と「愛国」が同居した支離滅裂な政権です。
ときの総理大臣が「成長戦略」なるアドバルーンをぶち上げると、マスコミはこぞってアベノミクスの応援団と化し、あたかも景気がよくなったかのような記事を書き立てる。ときの総理大臣がみずからの野心のために嫌中嫌韓の空気をふりまくと、マスコミはこぞって”鬼畜中韓”の記事を書き立て、ヘイトなナショナリズムを煽る。その先に、特定秘密保護法や解釈改憲など、経済政策だけでなく、政治そのものがマフィア化し、夜郎自大になっている現実があるのです。