今日、おしっこの勢いの検査に行きました。電車のなかでも下腹部を常に意識しながら濃いお茶を飲みつづけ、駅に着いたら、グッドタイミングで尿意を催してきました。「今度はバッチリだ」と胸を張って(?)病院のドアを押しました。
ところが、診察室の前で待てども、なかなか私の名前が呼ばれないのです。私よりあとから来た人が先に呼ばれる始末です。「どうして?」と思ったら、なんだか焦りが募り、よけい尿意のレベルが上がってきました。「このままじゃやばい!」と思ったとき、やっと私の名前が呼ばれたのでした。
検査室に入ると、ナースから、「エコーの検査をしますので、こちらのベットに横になってください」と言われました。私は、「おしっこはあとなのか」と思いながら、ベットに横になり言われるままに横向きに寝て、ズボンとパンツを下ろしました。ほどなくドクターがやってきて、「ちょっと冷たいですよ」と言いながら、脇腹にゼリーのようなもの(そのものズバリ「超音波ゼリー」と言うらしい)を塗り、先端にローラーが付いた器具(「超音波プローブ」)を滑られせていきました。すると、モニターを見ていたドクターから意外なことばが発せられたのでした。
「おしっこの貯めすぎですね」
「ええっ、そ、そんな・・・」
私は、心のなかでそう叫びました。おしっこを貯めてきてくださいと言われたから、貯めてきたのです。それも何度も失敗を重ねてやっと限界ギリギリでやってきたというのに、なんという言い草と思いました。
「仰向けになってください」
仰向けに寝ると、「超音波プローブ」が下腹部に当てられました。しかも、かなり強い力で押し付けられながらパンパンに張った下腹部を円を描くように滑らせるのでした。
「う、うっ」
私は、思わずうめき声を上げました。そして、うめき声を上げながら、今、ここで我慢しきれずに放尿したらどうなるんだろうと想像している自分がいました。
ドクターは、「こんなに貯まっているのに我慢できるというのは、膀胱の機能も正常と言えますね」なんて呑気なことを言っています。私は、額に汗が噴き出ているのがわかりました。
「ああ~、先生、かなり限界です」
「あっ、はい、はい、じゃあ、終わりましょう」
やっとエコー検査が終わりました。そして、パンツとズボンを引き上げてベットから起き上がると、ナースが紙コップを差し出し、「これにおしっこを取ってください」と言うのです。紙ゴップにおしっこを取るのは、来院するたびにおこなわれる通常の尿検査です。
「エッ、おしっこの勢いの検査があるんじゃないの?」と思った私は、ナースに、「おしっこの勢いの検査をするんじゃないですか?」「だから、おしっこを貯めてきたんですよ」と言いました。ナースは、私のおしっこの勢い、じゃなくてただの勢いに気圧されたのか、紙コップを手にしたまま困惑した表情を浮かべ固まっていました。すると、奥から顔なじみのベテランのナースが出てきて、「ああ、そうなんですか。はい、わかりました」「じゃあ、用意して」と紙コップのナースに指示したのでした。
トレイに入ってバケツのような容器に放尿しながら、私は、あの奇妙な空気はなんなんだと思いました。おしっこの勢いの検査じゃないのか。もしや、おしっこを貯めてくるように言われたのは、エコー検査のためだったのか。おしっこの勢いの検査というのは、自分の独り合点だったのか。
そうなのです、どうやら独り合点だったようです。私があまりに強い口調で言うので、「じゃあ、お望みどおり検査しましょう」と検査したみたいです。
ドクターもおしっこの勢いのグラフを示しながら、「この線の山は勢いがありますよ」「大丈夫ですよ」と言ってましたが、心なしか皮肉のようにも聞こえました。どうしてこの患者はそんなにおしっこの勢いにこだわるんだろうと思ったのかもしれません。
私は、なんだかドン・キホーテのような心境で徒労感を覚えながら、とぼとぼ帰ってきたのでした。
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おしっこの勢いの検査
ところが、診察室の前で待てども、なかなか私の名前が呼ばれないのです。私よりあとから来た人が先に呼ばれる始末です。「どうして?」と思ったら、なんだか焦りが募り、よけい尿意のレベルが上がってきました。「このままじゃやばい!」と思ったとき、やっと私の名前が呼ばれたのでした。
検査室に入ると、ナースから、「エコーの検査をしますので、こちらのベットに横になってください」と言われました。私は、「おしっこはあとなのか」と思いながら、ベットに横になり言われるままに横向きに寝て、ズボンとパンツを下ろしました。ほどなくドクターがやってきて、「ちょっと冷たいですよ」と言いながら、脇腹にゼリーのようなもの(そのものズバリ「超音波ゼリー」と言うらしい)を塗り、先端にローラーが付いた器具(「超音波プローブ」)を滑られせていきました。すると、モニターを見ていたドクターから意外なことばが発せられたのでした。
「おしっこの貯めすぎですね」
「ええっ、そ、そんな・・・」
私は、心のなかでそう叫びました。おしっこを貯めてきてくださいと言われたから、貯めてきたのです。それも何度も失敗を重ねてやっと限界ギリギリでやってきたというのに、なんという言い草と思いました。
「仰向けになってください」
仰向けに寝ると、「超音波プローブ」が下腹部に当てられました。しかも、かなり強い力で押し付けられながらパンパンに張った下腹部を円を描くように滑らせるのでした。
「う、うっ」
私は、思わずうめき声を上げました。そして、うめき声を上げながら、今、ここで我慢しきれずに放尿したらどうなるんだろうと想像している自分がいました。
ドクターは、「こんなに貯まっているのに我慢できるというのは、膀胱の機能も正常と言えますね」なんて呑気なことを言っています。私は、額に汗が噴き出ているのがわかりました。
「ああ~、先生、かなり限界です」
「あっ、はい、はい、じゃあ、終わりましょう」
やっとエコー検査が終わりました。そして、パンツとズボンを引き上げてベットから起き上がると、ナースが紙コップを差し出し、「これにおしっこを取ってください」と言うのです。紙ゴップにおしっこを取るのは、来院するたびにおこなわれる通常の尿検査です。
「エッ、おしっこの勢いの検査があるんじゃないの?」と思った私は、ナースに、「おしっこの勢いの検査をするんじゃないですか?」「だから、おしっこを貯めてきたんですよ」と言いました。ナースは、私のおしっこの勢い、じゃなくてただの勢いに気圧されたのか、紙コップを手にしたまま困惑した表情を浮かべ固まっていました。すると、奥から顔なじみのベテランのナースが出てきて、「ああ、そうなんですか。はい、わかりました」「じゃあ、用意して」と紙コップのナースに指示したのでした。
トレイに入ってバケツのような容器に放尿しながら、私は、あの奇妙な空気はなんなんだと思いました。おしっこの勢いの検査じゃないのか。もしや、おしっこを貯めてくるように言われたのは、エコー検査のためだったのか。おしっこの勢いの検査というのは、自分の独り合点だったのか。
そうなのです、どうやら独り合点だったようです。私があまりに強い口調で言うので、「じゃあ、お望みどおり検査しましょう」と検査したみたいです。
ドクターもおしっこの勢いのグラフを示しながら、「この線の山は勢いがありますよ」「大丈夫ですよ」と言ってましたが、心なしか皮肉のようにも聞こえました。どうしてこの患者はそんなにおしっこの勢いにこだわるんだろうと思ったのかもしれません。
私は、なんだかドン・キホーテのような心境で徒労感を覚えながら、とぼとぼ帰ってきたのでした。
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